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消費税法「95%ルール」の適用要件の改正について

平成236月の消費税法の一部改正においては、2つの大きな改正点がありました。

1つは、消費税の事業者免税点制度の見直しであり、もう1つは仕入税額控除制度におけるいわゆる「95%ルール」の適用要件の見直しです。

今回は、この平成2441日以後に開始する課税期間から適用されている「95%ルール」の適用要件の見直しについて取上げていきたいと思います。平成243月に国税庁より「95%ルール」の適用要件の見直しを踏まえた仕入控除税額の計算方法等に関するQ&Aが公表されたため、この内容について説明を進めていきたいと思います。

なお、消費税の事業者免税点制度の見直しについては124日の記事で取上げておりますので、以下のリンク先もご覧下さい。

 

 

 http://i-nex.co.jp/headline/2012/01/post-160.html

 

 

1. 改正の概要

 

従来の消費税法では、非課税売上に対応する課税仕入については、仕入税額控除は認めないのが原則となっておりますが、その課税期間における課税売上割合が95%以上の場合には、その事務負担に配慮し、全ての課税仕入について仕入税額控除が認められています。

 これは課税売上割合が95%以上の全ての事業者に適用されているため、大企業においても納税額が軽減されている点が問題となっていました。

 今回の改正により、平成2441日以後に開始する課税期間より、その課税期間における課税売上高が5億円を超える事業者については、課税売上割合が95%以上であっても全ての課税仕入について仕入税額控除は認められず、仕入税額控除の計算を個別対応方式もしくは一括比例配分方式のいずれかで計算する事となりました。なお、課税期間における課税売上高が5億円以下の事業者については、従来通り全ての課税仕入について仕入税額控除をする事が可能です。

 

2. 改正による注意点

 

? 課税期間における課税売上高により判定する事

    まず、課税売上高が5億円を超えるかどうかは、その課税期間における課税売上高が5億円を超えるかどうかによる点に留意が必要です。事業者免税点制度のように、基準期間の課税売上高により判定するのではなく、仕入税額控除を計算する課税期間における課税売上高により判定する必要があります。

? 課税期間が1年未満の場合は、1年間の課税売上高に年換算して判定する事

    事業年度が6ヶ月である場合や、課税期間の特例の適用を受けている場合などは、その1年未満の課税期間における課税売上高を1年間の課税売上高に年換算した金額とする事とされています。これは、仮決算による中間申告書を提出する場合も同様です。

 

3. まとめ

 

不動産業などの元々課税売上高が95%以下の会社においては従来通りの方法で問題ありませんが、多くの会社で消費税の計算方法の変更を余儀なくされます。

3月決算会社においては、この4月より適用となるため、特に個別対応方式を採用する場合には、課税仕入を課税売上に対応するもの、課税売上・非課税売上に共通して対応するもの、非課税売上に対応するものの3つに区分して仕訳入力する必要がでてくる事に留意が必要です。期末付近になって不意に課税売上高が5億円を超えて、仕訳入力をし直すなどといった問題が起こらないためにも、きちんと対策を練る事が大切です。

 

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2012/05/11

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