役員給与の事前届出について
平成18年度税制改正法案では、法人税法の改正で導入される『役員給与の事前届出制度』の適用関係が徐々に明らかになってきました。
当初、事前届出を要するのは、確定時期に確定額を支給する役員給与全体と考えられていました。この内容については、以前に税務情報ヘッドラインで簡単に説明しました( http://i-nex.co.jp/headline/2006/03/18-2.html )が、今回、新たな取り扱いが判明しました。
定期同額給与の支給があれば役員賞与相当部分の届出で可能
『役員給与の事前届出』を要するのは、定期同額給与の支給である場合には、役員賞与相当部分のみの届出で足りることが明らかとなりました。
したがって、現行法下、定時定額で役員報酬を支給し、利益処分で役員賞与を支給している企業の場合には、改正法が施行されても、現行の役員報酬部分については、定期同額給与として届出なしで損金算入可能となります。
【事前届出が必要な役員給与の範囲】
・役員給与の支給額を毎月変えて支給するような場合
⇒全額届出
・現行の役員報酬に当たる「定期同額給与」を支給し、別途、役員給与(現行の役員賞与)を支給するような場合
⇒別途支給する役員給与部分のみ、届出
・四半期毎に支給する役員給与等、支払がない月のある役員給与
⇒全額届出
・毎月の支給額がたびたび異なるような支給形態の場合(確定年俸額を不均等に月払いするようなケース)
⇒全額届出
実際の支給額と届出額とが異なる場合の損金算入範囲
役員給与に関する今回の改正は、制度上は、原則として届出額と支給額とが異なることは想定されていません。しかし実務上、企業の経営成績や資金繰り等の関係で、届出額と実際の支給額が異なるケースが考えられます。
その場合の取り扱いには、注意が必要です。
・届け出た時期に支払う役員給与が届出額を上回った場合
⇒基本的には、届出額を含めて、全額損金不算入とされます。
・届け出た時期に支払う役員給与が届出額を下回った場合、あるいは支払うことができなかった場合
⇒その理由に着目して実態判断で取り扱われるものと考えられます。
支払わなかったことについてやむを得ない事情がある場合については、損金算入が可能となるものと考えられますが、はじめから支払う意思のない金額を届出しておいて、支払わなかった場合には、損金算入は認められなくなります。
なお、未払いとなった場合であっても、源泉徴収は必要になるものと考えられるので注意が必要です。
また、届出の期限については政令で、届出に関する書類の記載事項は、財務省令で定められることになる予定ですので、今後の発表内容に注目できます。
2006/04/10
- 法人税