海外支店への転勤があった場合等の確定申告について
海外支店への転勤などで日本国内に住所のないサラリーマンや、日本国内に本
店や事務所のない外国法人が、国税に係る申告の必要がある場合には、「納税管
理人」を通して行わなければならないことになっています。
1.「納税管理人」とは
海外転勤し、居住者に該当することとなっても、一般的なサラリーマンなどの給与
所得者であれば、基本的に確定申告を行う必要はありませんが、例えば、併せて日
本国内で不動産の貸付けなどを行っていれば、国内源泉所得が生じるため、日本で
確定申告を行わなければなりません。
「納税管理人」は、そうしたケースで、本人の代理人として国内での税務手続など
を行うことになります。税理士はもちろんのこと、資格などは必要ないため、親族がな
ることも多いです。
2.「納税管理人」の届出をしなかった場合
「納税管理人」は、所轄税務署に届け出る必要があり、個人の場合は、納税管理
人の届出をしなければ、所得税法上の「出国」として取り扱われることになります。
所得税法上の「出国」とは、納税管理人の届出がなく、日本国内での住所等がな
いこととされており、出国する際には、出国時までに、納税者がその年の1月1日か
ら出国時までの所得について準確定申告をしなければなりません。さらに、出国後
からその年の12月31日までの期間について、国内源泉所得があれば、確定申告期
にそれらを申告する必要があるため、海外から納税管理人を定め、納税管理人を通
して申告を行わなければならないことになります。
3.「納税管理人」の届け出をした場合
一方で、予め納税管理人の届出をしていれば「出国」には当たらないため準確定
申告する必要はなく、海外転勤した年分の所得は、翌年の確定申告期に納税管理
人を通して1回行うことになっています。
国内に事務所等がない外国法人に係る消費税の申告なども「納税管理人」を通し
て行う仕組みになっており、先般報道された「海外から配信する電子書籍などのサー
ビス」について、外国法人に消費税を課す場合にも、同様の方法で申告することが
検討されているようです。
2012/08/31
- 所得税