被災地へ自社製品を寄付した場合、税金はかからない?
先日、3月11日に発生した東日本大震災から2ヶ月が経過しました。
未曾有の大災害を受け、法人、個人にかかわらず募金をされた方も多数おられるかと思います。
また法人の場合ですと、自社製品を被災者の方々に寄附されるケースも多く見受けられました。
今回はそのような自社製品を被災地へ寄附した場合における税務上の取扱いをご紹介致します。
1. 税務上の寄附金に該当すると
会計上、自社製品を寄付した場合は、その原価の額が寄附金として全額費用となります。
しかし、税務上においては、寄附金のうち一定の限度額を超過した金額は費用と認められず、超過金額分だけ税金が課せられます。
つまり、税務上の寄附金に該当すると税金がかかってしまうことになります。
2.
税務上の寄附金に該当するか?
本来、自社製品を寄附した場合、その原価の額は税務上の寄附金として、上記のように一部税金が課せられてしまいま す。
しかし、法人が不特定多数の被災者を救援する為に自社製品を寄付した場合、その原価の額は、税務上の寄附金に該 当しないこととなっています。
3.取扱いは?
今回の東日本大震災にあたり被災地へ自社製品を寄附された場合、その原価の額は、上記2より税務上の寄附金に該当せず、全額費用として認められます。
実務上では、無償提供した製品の原価の額だけ期末棚卸高が減少する為、その分、売上原価(費用)の額が増加することになります。(下記算式参照)
売上原価=期首棚卸高+製造原価−期末棚卸高
またこのような製品の提供だけでなく、被災者に対する緊急的な無償の役務の提供(電話回線の無料開放等)も同様の理由により、費用と認められることになります。
4.最後に
冒頭にも述べたように、今回の大震災を受け、多くの企業が自社製品の寄附を行いました。
その行為に対して税制上の優遇措置を設けるのは、企業への社会的要求や人道的見地からも当然ですので、自社製品を寄附される際には、税金面での不安はなくして頂ければと思います。
2011/05/19
- 法人税