つなぎ法案で改正案はどうなる?
平成23年3月31日に適用期限を迎える税制措置の適用期限を平成23年6月30日まで延長する,いわゆる「つなぎ法案」が衆議院に提出されました。
この「つなぎ法案」により、現行措置法等で適用期限が平成23年3月31日となっている特例は,平成23年6月30日まで3ヶ月間延長されます。
1.つなぎ法案の対象になる事項・ならない事項
現在,衆議院で審議中の所得税法等の一部を改正する法律案の「第20条 租税特別措置法の一部改正」で改正を予定している特例には,次のような類型があります。
? 期限延長を予定している特例 |
これらのうち,「つなぎ法案」では,?・?・?について,平成23年3月31日とされている部分を
平成23年6月30日に改正する「期限延長」だけが行われます。
また?については,適用期限は未到来ですが,現行規定が部分的に延長されます。
2.つなぎ法案の対象になる事項の具体例
◆上記?・・・単純に期限延長だけを行うとしているものです。
【具体例】
・印紙税や登録免許税の特例
・所得税や法人税などに関する退職年金等積立金の法人税の課税停止措置 など
◆上記?・・・年度改正では特例の内容を見直した上で適用期限を延長すると
していますが,つなぎ法案の方は期限だけを改正するものです。
【具体例】
・中小企業者の法人税の軽減税率の特例(22%→18%)
⇒平成23年6月30日までの間に終了する事業年度で適用されます。
◆上記?・・・平成23年3月31日で自動的に廃止となるもので、
3ヶ月間だけ適用期限が伸びます。
【具体例】
・試験研究を行った場合の税額控除の上乗せ措置(20%→30%)
⇒平成23年6月30日までに開始する事業年度で適用できます。
◆上記?・・・適用期限は未到来ですが,つなぎ法案では現行規定が
部分的に延長されます。
【具体例】
・環境関連投資促進税制に改組される予定のエネ革税制
⇒即時償却制度の部分だけ3ヶ月延長し、平成23年6月30日までに
得した対象資産に適用できます。
3.不動産取得税,固定資産税の特例も3ヶ月延長
地方税も「つなぎ法案」よって,不動産取得税や固定資産税に設けられている
非課税措置や課税標準の特例措置が3ヶ月間延長されます。
不動産取得税は,平成23年度の地方税法の一部改正案によって,特例の新設,延長,
縮減・延長,廃止が予定されていますが,期限延長だけが行われます。
地方税法附則に規定されている不動産取得税の税負担軽減措置は,平成23年3月31日
までの取得分について適用するとされていた措置の期限が,平成23年6月30日となります。
4."つなぎ法案"の留意点
措置法の年度改正では,既存の制度については,特例内容の縮減や拡充,
適用期限の延長が行われます。
しかし,今回のつなぎ法案では,そのうちの適用期限だけが単純に改正されることになります。
そのため,自動的に廃止となる予定だった特例も延長されますので,注意が必要です。
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2011/04/13
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