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医療法人の支配関係は出資持分で判断!

完全支配関係の定義では、「発行済み株式又は『出資』の全部を直接又は間接に保有する関係...」とされていることから、医療法人もグループ法人税制の適用対象となりえます。

しかし、「議決権は有するものの出資金額はゼロ」という社員がいるケースもあり、支配関係の判定を出資だけで行うのかどうか疑問に思われている方もいらっしゃることと思います。

そこで今回は、こうしたケースにおける完全支配関係の判定についてご説明させていただきます。

 

 


1.医療法人とグループ法人税制

医療法の改正で平成19年4月1日以後、出資持分の定めのある医療法人の設立は禁止されましたが、既存の持分の定めのある医療法人は、「経過措置型医療法人」として、当分の間の存続が認められています。

この経過措置型医療法人が、法人税法に創設されたグループ法人税制の適用になるかどうかについては、完全支配関係を定義する規定において「株式又は出資」とされていることから、出資持分のある医療法人もグループ法人税制の対象とされています。

 

2.出資持分のない社員がいる場合

ただし医療法人では、出資をしない者も社員となることが可能であり、出資金額ゼロの社員も社員総会では出資社員と同様に1人1個の議決権を有するため、下図のような場合の医療法人と甲社との間に、完全支配関係があるといえるのかといった疑問が生じることになりました。

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この社員7名の医療法人の議決権は、同族の出資者グループが3個、非同族の社員が4個。社員総会の議事は出席者の過半数で決するため、非同族4名の社員グループが議決権による支配で出資者グループを上回ります。

一方、出資という医療法人の財産に対する支配権からみると、理事長以下3名で出資の100%を有しているので、法人の財産の全部を同族で支配していることになります。こうした社員構成の場合、出資者グループが完全に法人を支配していることになるのか?という疑問が生じます。

 

3.結論

結論としては、出資持分の定めのある医療法人の場合、議決権による支配関係でなく、出資金額だけで判断することになります。設例の場合には、出資の全部を一族が有していることから、医療法人と甲社の間には完全支配関係があるということになります。 

 


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2011/02/10

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