中小企業の与信管理について
先日、業績がV字回復された企業の経営者の方と話をしておりまして、
その方が代表取締役になられて新体制になったときの取り組みの1つの事例として
「与信管理」を挙げられておりました。
与信管理基準を新たに作成することになって、一時は取引高の制限や取引先の精査で
売上高は落ちたそうですが、結果的に、定期的に起きていた債権事故や無茶な返品・値引きが
減り、実現利益は大きくなったそうです。
改めて、与信管理を定義しますと、
・与信管理とは、代金を確実に回収し、貸倒れを最低金額に抑え込む管理のことをいいます。
・与信管理の対象は、全ての取引先で、貸倒れを最低金額に押さえるために、
一般的には、受注額+債権額を合計した金額が、一定の金額を超えない限度額、
与信限度額を取引先別に設定し、超えた場合は取引をしない、社内決裁をとるなどの対応をとります。
中小企業の場合は、取引先の審査にかける時間・コスト・スキル、
あるいは、取引先との立場関係、いずれをとっても、一般的な与信管理の本に
書かれたやり方を採用することは現実的に難しいと思います。
実際、ほとんどの中小企業は、社内で統一された与信管理基準を設けず、
経営者・ベテラン営業マンの経験と勘、取引先や銀行の話をもとに、取引高を
調整されていることがほとんどではないかと思います。
それならば、中小企業の場合には、与信管理基準は不要かといえば、
作りこみの程度はどうであれ、与信マインドを営業マンに持たせるために、
会社として基準は示すべきだと思います。
特に、取引の判断が、営業担当個人に依存している会社ほど必要かと思います。
取引限度額の設定、定期的な取引先の信用情報の取得、取引条件の見直しルール、
危険を察知した場合の対処方法、倒産防止共済や保険の加入、
一見決めることは確かに多いですが、冒頭の事例のケースもあるため、
何もない先については、与信管理基準(規程)を社内で検討されてはいかがでしょうか。
砂川
2015/06/24
- 税務・会計について