行動経済学(小野)
先日、タイトルに惹かれ、こんな本を買いました。
いわゆる標準的経済学は、超合理的な経済人−禁煙やダイエットにも失敗しないし、忘れ物もしない、感情を排除し常に自分の利益に繋がるような行動ができる人々−を前提としていますが、実情はそのような人間はほとんど存在しないため、どこか実感とズレる部分があります。そのズレを補完する学問として、感情、直感、記憶など、心のはたらきを重視し、私たちの現実により即した動経済学について、本書では述べられています。
いわゆる標準的経済学は、超合理的な経済人−禁煙やダイエットにも失敗しないし、忘れ物もしない、感情を排除し常に自分の利益に繋がるような行動ができる人々−を前提としていますが、実情はそのような人間はほとんど存在しないため、どこか実感とズレる部分があります。そのズレを補完する学問として、感情、直感、記憶など、心のはたらきを重視し、私たちの現実により即した動経済学について、本書では述べられています。
本の中では、様々な行動経済学に基づく論理問題が紹介されていますが、その中で私が面白いと思ったものをご紹介します。
「Aさんに1,000円を与えて、1,000円のうちいくらかのお金をBさんに対して渡させます。渡す金額を決める権利はAさんにあり、Bさんがその金額を承諾すれば、Bさんはその金額を獲得し、Aさんは手元に残った金額を獲得できますが、Bさんがその金額を拒否すれば、お互いの獲得金額が0円になります。Aさんであるあなたは、Bさんにいくら与えればいいでしょうか?」
実験結果では、多くの人が300円〜500円をBさんに渡したそうですが、経済学の常識で考えるとこの行動はおかしなものです。
というのも経済学が前提としている経済人は自分の利益が最大になるような行動をとるからです。
その前提を踏まえると、経済人であるBさんは拒否すると1円も貰えないので、0円以外のどの値段でも承諾しますし、そのことを経済人であるAさんは知っているので、Aさんは自分の利益が最大化する1円をBさんに与えるはずです。
しかし現実問題、Aさんが999円を獲得する傍らで、Bさんが1円の獲得で満足するでしょうか?
1円しか貰えないなら、自分が0円になってでもAさんの獲得金額を減らそうとする可能性も十分にあります。
本書では、こういった理屈だけでは説明できない感情の部分まで言及し、わかりやすく解説しているので興味があれば是非ご一読下さい。
2012/07/10
- スタッフの雑談