【書評】ライト、ついてますか(小野)
本書を一言で要約するとこうなります。
「問題を解決しようとする前に、その問題について徹底的に考えなさい」
本書は副題にもあるように、「問題発見」について書かれた本です。
いわゆる「問題解決」系の本と異なる点は、問題の解決方法ではなく、
問題の発見方法に焦点をあてていることです。
人は問題を与えられた時、また、問題に直面した時、
反射的に「どのようにしてこの問題を解くか」と考えてしまいます。
しかし、いくら考えてもその問題が解決できない、解決の糸口すらつからないといった
経験は誰にでもあるでしょう。
この本曰く、それは、問題が解けないのではなく、正しい問題を発見できていないからなのです。
本質的に問題でない問題を解こうとするため、結局問題が解決されず、
現状は一向に改善されないままで終わってしまいます。
では、正しい問題とはどのように発見するものなのでしょうか?
この本が繰り返し提唱しているのは、「何よりもまず、その問題が誰の問題かを考えなさい」ということです。
問題に直面したとき、すぐにその解決方法を探るのではなく、
一旦立ち止まって、誰にとっての問題であるかを整理します。
すると、その問題の当事者が自分でなかったり、
逆に、全く関係のなさそうな人にとっての問題であったことが分かります。
自分にとっての問題でなければそもそも解決する必要はありませんし、
問題の当事者が変わればその解決方法もまるっきり変わるでしょう。
まず、誰の問題であるかを整理するだけでも、
その問題の解決は効率的に進みます。
本書は、小さなエピソードから、本質的な問題を発見する方法を提示しており、
身近な問題を例に挙げているため、とても読みやすい構成になっています。
難点としては、翻訳が直訳なので、ニュアンスが伝わりづらいことでしょうか。
ともあれ、この本を一度読むと、「問題を解決するということ」に対する意識はガラリと変わります。
問題解決には自信のある方もそうでない方も、一度手にとってみて損はないかと思います。
2012/05/17
- スタッフの雑談