タワーマンションによる相続税評価について
今回は、最近話題にされるタワーマンションについてのお話です。
日本経済新聞2016年1月24日発行分に、「マンション節税防止・高層階は評価上げ・低層階は評価下げ」という記事が掲載されました。マンションの現行における評価は、50階であろうと25階、そして1階も同じ評価額です。
例えば5,000万円の評価とした場合に、今回の見直しとして階による補正をかけ、50階は6,000万円・25階は5,000万円・1階は4,000万円と評価を行おうとするものです。
土地へか建物へか両方かは現時点で不明ですが、総務省と国税庁とで検討します。
相続税だけでなく、総務省所管の固定資産税も同時に見直すということです。
(1)固定資産税と相続税について
固定資産税は市町村が評価額を決定する賦課課税方式に対し、相続税は通達や路線価を自ら評価し、 申告して行う申告課税方式を採用しております。
相続税では、建物の評価額には市町村が決定した固定資産税評価額を採用し、一部土地評価についても 固定資産税評価額に倍率を乗じた評価を使用します。
(2)タワーマンション評価は現実離れ?
マンションは「専有面積坪単価」を実勢時価としておりますが、税務の評価でいくと、 土地評価と建物評価の合計です。実勢時価については階層や方角で単価が異なる為、一棟の建物全体の一部として 面積が同等なら評価は同じになります。したがって、実勢時価とは逆でタワマン評価は現実離れとしています。
(3)相続税・固定資産税評価の改正について
相続税だけなら、通達として例えば「20階以上マンションは」とざっくり限定し、 「最上階は1.2倍の6,000万円だとか、1階は0.8倍の4,000万」のように規定することができます。
相続税の課税対象者数も限定されるため対象物件は限られてきますが、固定資産税となると全国各地で対応しなければならない為評価も整合性のあるものを求められます。対象が膨大なだけに混乱が予想されます。
(4)固定資産税は直せるのか
2018年1月から実施する見通しと報道されていますが、固定資産税については根本から見直しが迫られます。
評価システムの変更も全国各地の市町村で考えなければなりませんね。マンションで20階以上と限定すれば、それなら19階とは評価が違うのかという不公平感も出るかもしれません。
難しい話ですね。今後の動向にも注目したいです。
2016/03/29
- 相続税・贈与税