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相続開始年分の贈与による相続財産の独り占めができるのか

贈与税のかからない生前贈与があるのはご存じですか?それが贈与者の相続開始年分贈与です。

(1)生前贈与加算と相続税  相続税には生前贈与加算と呼ばれる制度があります。

この制度は、相続開始前3年以内に相続人から贈与を受けていればその贈与財産を相続税の課税対象に加算する。
またその贈与について贈与税を払っていたら相続税額からその贈与税額を差し引くことができるというものです。

ところで相続開始年(亡くなった年)の前年に1,000万円の贈与を受け177万円の贈与税を納税したとします。
この場合相続開始前3年以内の贈与なので、この贈与1,000万円は相続財産に加算され
一方で177万円は相続税から引かれます。


(2)相続開始年分の贈与について

贈与者が亡くなった年の贈与(相続開始年分のの贈与)ですが、
例えば10月に親が亡くなりますが直前の9月に親から1,000万円の贈与を受けています。
亡くなった10月は、この時点では贈与税の申告・納税の期限前です。

この贈与1,000万円は相続税には加算されますが、贈与税は払っていないので相続税から引かれる贈与税はありません。
結果として贈与税がかからないまま、この1,000万円は相続税の申告書に書き加えられます。


(3)相続直前の贈与の財産独り占めの例え

下記ケースについて考えてみましょう。

例えば、親、長男と次男がいるとします。 親の財産が10億あるとし9月に9億円を長男に贈与しました。
預金名義変更や不動産移転登記も行います。本来なら約5億円の贈与税課税となりますが
親が10月になくなれば贈与税なしのまま相続税の課税対象に加算されます。

しかし、次男にはこの9億円は表面上見ることができません。
相続時の財産目録には残余1億円(=10億円の内、9億円は贈与をしている為1億円しか無い。)のみとなります。
次男は9億円の贈与に気づかずに遺産分割協議書に判をつくこともあり得るのです。

贈与税には開示制度があり、過去の贈与税の申告内容を税務署に開示請求することができます。
相続開始年分の贈与なら申告書を提出しませんので、開示のされようがありません。

上記のケースの場合、民法上の「特別受益」となり9億円は実質相続財産だから相続財産に足し戻せと
請求の訴えをされることがありますが、長男の「悪行」が次男にバレた時だけ初めて問題になるということなのです。


(4)親が長生きしたら・・・

上記(3)において、この相続開始年分贈与プランの最大のリスクは長生きです。
余命宣告された親から生前に贈与を9億円受けますが、余命を超え翌年までに長生きすると
贈与税約5億円を払うことになります。
その贈与が結果的に3年以内なれば相続税から5億円引けても引ききれない分は還付されず切り捨てとなります。

また一方で相続開始年分に贈与9億円を受けていても相続又は遺贈により
相続財産を全く取得していない者は贈与税として5億円を払うことになります。


京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2014/10/15

  • 相続税・贈与税

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