結婚・子育て資金贈与の注意点について
先日2015/1/28付で「結婚・子育て資金一括贈与の創設について」に関して、当ブログで掲載致しましたが、今回はその注意点についてのお話です。
1:内容
(1)「結婚・子育て資金一括贈与」の概要のおさらい
おさらいですが、結婚・子育て資金一括贈与の概要は以下の通りでした。
受贈者(20歳以上50歳未満である子・孫をいう)の結婚・子育て資金の支払に充てるために、その贈与者(親・祖父母である直系尊属をいう)が一括して金銭等の拠出を行い金融機関等(銀行等及び金融商品取引業者を含む)に信託等をした場合には、受贈者1人につき1,000万円(結婚に際して支出する費用については300万円)までの金額は、非課税とされることとなりました。
(2)結婚・子育て資金贈与を実施する場合の注意点とは
受贈者が生前に当該資金の一括贈与を受け、当該金額を使いきれず残額があった場合において、贈与者がお亡くなりになられた場合には、贈与者の相続が発生したときはその残額について相続財産に足し戻すという内容です。
(3)「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」は・・・??
一方、先般平成25年4月1日以降に施行されました「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」においてはどうでしょうか?
受贈者が生前に教育資金の一括贈与を受け、当該金額を使いきれず残額があった場合において、贈与者がお亡くなりになられたときは、贈与者の相続においてその残額に対する相続財産の足し戻しは
発生はありませんでした。
また、生前贈与加算の規定(相続開始前3年以内の贈与加算)もありません。
これが、「結婚・子育て資金贈与の非課税」規定の大きな相違点ではないでしょうか?
国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」HP
2:まとめ
教育資金贈与の規定は残額があったとしても規定上相続財産の足し戻しは発生しませんが、結婚・子育て資金贈与は残額に対する足し戻しは発生致します。
相続対策として「結婚・子育て資金贈与」をしたものの相続財産に足し戻すケースが考えられます。取扱いがそれぞれで異なりますので、ご注意ください。
2015/03/30
- 相続税・贈与税