消えた年金が見つかったときの税負担
現在、納付記録漏れや職員の横領といった不祥事により、年金問題が後を絶ちません。年金時効特例法も設けられ、過去にさかのぼって未支給の年金が受給者に支給されることにもなりました。
このように遡って年金を受け取った場合においても、原則所得税が課税されることとなります。しかし、遡った期間によっては、所得税が課されない場合があります。
◆年金時効特例法とは?
年金は、原則として請求しないと受給できません。
さらに年金を受給できる権利には、消滅時効(5年を超えると権利が消滅する)が設けられていました。
具体的には、6年間年金の請求を忘れていた人が思い出して申請しても、5年分しかもらえないことになります。
今回、制定された年金時効特例法とは、いわゆる'消えた年金記録'問題によって、新たに加入期間等が見つかった場合、5年を超えた期間分の年金も払いましょう、という法律です。
(具体例)60歳から年金を受給していた方で、71歳で追加すべき年金記録が見つかった場合
→当初は、5年間分のみ遡り、66歳から71歳の部分のみ支給されていましたが年金時効特例法によって、60歳から65歳の期間分も支給されることになりました。
◆遡って支給された年金の税金はどうなるの?
通常、公的年金については源泉徴収が行われ、支給日が属する年の所得として所得税が課税されます。
しかし、年金記録が訂正されることにより5年を超える部分の支給を受ける年金については、税金の徴収権の時効に伴い、所得税は課税されないこととなります。
具体的には次の3パターンとなります。
(1)直近5年間の年金が支給される場合 (具体例なら66歳から71歳の部分 )
→支給日が属する年の所得として課税されます。(源泉徴収されます。通常の年金と同様です。)
(2)年金時効特例法によって、5年超の部分が遡って支給される場合(具体例なら60歳から65歳の部分)
→課税されません。(当然源泉徴収もありません。)なぜなら、税金の徴収権の時効も5年で消滅するためです。
(3)時効となった年金を受け取る者が既に死亡している場合
→受け取る遺族の所得となります。
・直近5年間の部分⇒支給された年の所得として課税されます。(源泉徴収の対象とはなりません。)
・5年超の部分⇒課税されません。(当然、源泉徴収もありません。)
税金の話は別として、全国民が納得できる対策を期待したいものです。
2007/09/13
- 所得税