事業承継対策に活用できる種類株式
3月16日、国税庁の文書回答事例により、事業承継対策として活用できる次の3種類の株式について、評価の取り扱いが明確化されました。
(1)配当優先の無議決権株式
(2)社債類似株式
(3)拒否権付株式
今回は、この3つの種類株式について、評価の取り扱いを含め説明します。
種類株式とは
:利益の配当や議決権などについて、普通の株式と異なる定めがなされた株式です。
種類株式の意義と評価
(1)配当優先の無議決権株式
【意義】
利益の配当について優先権があり、株主総会での議決権の内容が制限された株式をいいます。
【評価】
普通株式と同様の評価が原則ですが、納税者の選択により5%の評価減が可能です。
ただし、その評価減した分は議決権株式の評価額に加算されます。議決権の有無を考慮した評価になっています。
(2)社債類似株式
【意義】
次の条件を満たすものが該当します。
・優先配当であること。
・無議決権株式であること。
・一定期間後に発行会社が発行価額で取得すること。
・残余財産の分配は発行価額を上限とすること。
・他の株式を対価とする取得請求権を有しないこと。
【評価】
発行価額で評価します。
(3)拒否権付株式
【意義】
特定の事項について、株主総会の決議の他にその拒否権付株式を有する株主の承認が必要となる株式です。
一般に「黄金株」と呼ばれています。
【評価】
普通株式と同様に評価します。一株あたりの経済的な価値が変わるわけではないため、拒否権は考慮されません。
活用例
(1)事業の後継者には普通株式、他の相続人には社債類似株式などの無議決権株式を相続させます。後継者に議決権を集中させることができるため、議決権の拡散を防ぐのに役立ちます。
(2)オーナー経営者が拒否権付株式を一定期間保有することで、経営の安定化を図ることが出来ます。場合によっては拒否権を行使し、後継者の独断専行を防ぐなどとして活用します。
2007/04/25
- 事業承継