不良債権の早期損金計上が可能に!?(サービサー法の改正)
この秋の臨時国会では債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)の改正が取上げられ、平成18事業年度中の施行に向けて、審議が行われるようです。
この改正により、税務上、貸倒による損金計上の要件を満たさない不良債権について、債権回収業者に売却することで早期に損金計上ができることとなりそうです。
■サービサー法とは
サービサー法とは、弁護士しか行うことができない金銭債権の回収業務を、法務大臣の認可を受けた債権回収会社(サービサー)であれば、行うことができるようにした法律です。
<通常の債権の回収の流れ>
企業が取引先の債権を回収します。
1.債権
←
企業 取引先
→
2.回収
<債権回収会社(サービサー)を通した場合の回収の流れ>
企業は債権回収会社に債権を売却することによって、債権を回収します。売却したため、売却後の債権者は債権会社となります。
1.債権
→
取引先 企業 債権回収会社 取引先
→ →
2.売却 (3.回収)
■改正の内容 −企業の貸倒処理にも影響が−
今回の改正では、サービサーが取り扱うことのできる特定金銭債権が拡大となるようで、これまで企業において処理することが困難だった債権も、サービサーに売却することが可能となり、企業の貸倒処理にも影響が及ぶことになりそうです。
■不良債権の早期損金計上が可能に!
取引先等の金銭債権や売掛金の貸倒れ処理については、企業内部で行うために、客観性の観点等から、税務上の損金に認められるか否かという点で、その計上は、リスクの高いものになっていました。
この改正によって、それらの債権をサービサーに売却することが可能となれば、売却時点で売却損の計上が可能となります。
この売却損はこれまでの貸倒れ処理による見込み損ではなく、実現損となるため、これまでより客観性が高いものであり、税務上のリスクが回避されることになります。
したがって、これまで企業で売却処理、回収依頼ができなかった債権処理が、これまでよりも容易となることから、不良債権処理も促進されることとなると見込まれます。
不良債権処理の税務という点からも、今後のサービサー法の改正動向は注目していきたいところです。
2006/10/20
- 法人税