損金算入される少額交際費とは? <後半>
平成18年度税制改正において、一人当たり5,000円以下の飲食費等が交際費等から除かれ、損金に算入することが可能となる措置が新たに設けられました。
この改正については、以前の税務情報ヘッドラインで簡単に説明しました。
< http://i-nex.co.jp/headline/2006/05/post-52.html >
< http://i-nex.co.jp/headline/2006/07/post-59.html >
今回は、前回に引き続き、少額交際費に該当するかどうかの判定方法、適用要件等についてご説明します。
1人当たり5,000円以下の飲食費の判定
(1)1人当たりの金額計算
『飲食等のために要する費用として支出する金額』を『飲食等に参加した者の数』で除して1人当たりの金額を求めます。この金額が、5,000円以下の費用であった場合、交際費等の範囲から除かれる飲食費となります。したがって、単純に当該飲食費等に参加した人数で除して計算した金額で判定することになります。
(2)5,000円を超える飲食費の額
1人当たりの金額が5,000円を超える費用については、その費用のうちその超える部分だけが交際費等に該当するものではなく、その費用のすべてが交際費等に該当することになります。すなわち、1人当たりの飲食費のうち5,000円相当額を控除するというような方式ではありません。
(3)1次会と2次会の費用
飲食等が1次会だけでなく、2次会等の複数にわたって行われた場合、それぞれの行為が単独で行われていると認められるとき(例えば、全く別の業態の飲食店等を利用しているときなど)には、それぞれの行為に係る飲食費ごとに1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行います。
ただし、それら連続する飲食等が一体の行為であると認められるときには、その行為の全体に係る飲食費を基礎として1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行うことになります。
(4)支出する費用に係る消費税等の額
飲食費が1人当たり5,000円以下であるかどうかは、その飲食費を支出した法人の適用している税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用方式により算定した金額により判定します。
(5)会議費等の関係
従来から交際費等に該当しないこととされている会議費等については、1人当たり5,000円超のものであっても、その費用が通常要する費用として認められるものである限りにおいて、交際費等に該当しないものとされます。
保存書類への記載事項
損金算入の適用要件として、一定の書類の保存義務があり、得意先等の氏名又は名称及びその関係が記載すべき事項としてあります。得意先等の氏名等の記載にあたり、次の事項を注意しなければなりません。
●飲食等を行った相手方である社外の得意先等に関する事項を、「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)、卸売先」というようにして記載する必要があります。
原則として、相手方の氏名についてすべてが必要となりますが、その一部が不明の場合や多数参加したような場合には、その参加者が真正である限りにおいて、「○○会社・□□部、△△◇◇(氏名)部長他10名、卸売先」という表示であっても差し支えありません。
●社内飲食費でないことを明らかにするためのものであり、通常の経理処理等に当たって把握していると思われる自己の役員や従業員等の氏名等までも記載を求めているものではありません。
申告書別表十五の記載の仕方
従来どおり「支出交際費等の額の明細」の「科目」区分に従って各科目を表示します。
それぞれの「支出額5」に含まれる飲食費のうち、それぞれ損金不算入とならない1人当たり5,000円以下の飲食費の合計額を「交際費等の額から控除される費用の額6」に含めて、「差引交際費等の額7」を求めてください。
したがって、交際費等の範囲から除かれることとされる1人当たり5,000円以下の飲食費を独自に表示する必要はありません。
2006/07/31
- 法人税