役員給与の増額分一括支給額が損金不算入に
定時総会等で、役員報酬の増額改訂をし、事業年度開始日から改訂日までの役員報酬の増額分を一括支給した場合は、これまで「役員報酬」として損金算入が認められてきました。
このほどの役員給与制度の改正に伴い、今後は認められない可能性が極めて高くなってきました。これを定めた通達(法人税基本通達9−2−9の2)が、近々廃止される方向で検討されているためです。
■18年4月1日以後開始事業年度から適用不可
平成18年度税制改正により「役員給与」については、定期同額・事前届出等の要件を満たしているものだけが損金算入の対象となります。
増額改訂による一括支給は定期同額の要件を満たしていないことになるため、損金算入が認められないこととなります。改正法が適用される平成18年4月1日以後に開始する事業年度からこの取扱いとなります。
もともとこの通達は旧法に規定する「役員報酬」について定めたもので、改正法の「役員給与」についての規定には適用されないためです。国税庁は、この通達を改正法に合わせて改訂せず、廃止する方向で検討しているようです。
■遡及増額分を織り込んだ定期同額給与に改訂を
今後、支給額を増額改訂する場合には、増額分をその後の期間で按分し改定後の定期同額給与に織り込んで支給する必要があります。
例:3月決算法人が平成18年6月に定時総会で支給額の増額を決議し、4月・5月分の増額分を支給する場合
・増額分を6月に一括支給
⇒増額部分については損金不算入
・増額分を6月以降の期間で按分し、定期同額給与に織り込んで支給
⇒増額部分も損金算入
2006/06/30
- 法人税