基準所得金額の詳細が明らかに
特殊支配同族会社の業務主宰役員に係る役員給与損金不算入の判定で大きな関心を集めている「基準所得金額」について、その詳細が明らかになりました。
この改正については以前取り扱いました が、「実質的な一人会社」、即ち「特殊支配同族会社」と判定されても、
(1)基準期間(当期前3年の事業年度)における基準所得金額が年800万円以下である場合
もしくは
(2)800万円超3,000万円以下の場合で、基準期間中の業務主宰役員給与額の平均額(事業年度が12月の場合)が基準所得金額の50%以下
ならば、適用除外となります。
今回はこの「基準所得金額」についてご説明します。
基準所得金額は、「調整所得金額」の合計額から「調整欠損金額」の合計額と「過年度欠損金額の調整控除額」の合計額を控除したものを、基準期間の月数の合計数で除し、12を乗じたものをいいます。
調整所得金額
・・・"所得の金額"に"業務主宰役員給与額"と"繰越欠損金の適用金額"を加算したもの。(欠損金額が生じた場合で業務主宰役員給与額が欠損金額よりも多い事業年度では、業務主宰役員給与額から欠損金額を控除したもの。)
調整欠損金額欠損金額
・・・欠損金額の方が業務主宰役員給与額よりも多い場合に発生し、"欠損金額"から"業務主宰役員給与額"を控除したもの。
過年度欠損金額の調整控除額
・・・基準期間の調整所得金額から差し引かれた、基準期間前に生じている"欠損金額等"。
この過年度欠損金額の調整控除額の趣旨は、基準所得の計算を行うにあたっては、本業から生じたものに相当する繰越欠損金の控除は認める一方で、業務主宰役員給与から生じた欠損金額部分だけは控除しないというものです。
調整所得金額には、"繰越欠損金の適用金額"が加算されており、この繰越欠損金額には業務主宰役員給与額以外の繰越欠損金も加わっています。
このため、多少複雑な計算をしなければなりませんが、この過年度欠損金額の調整控除額を控除することにより、業務主宰役員給与が少額でも欠損が生じていた法人にとって、基準所得金額の計算上で、不利にならない考慮がなされています。
2006/06/13
- 法人税