同族会社の判定基準に議決権等が追加
平成18年度の税制改正で、同族会社に該当するかどうかの判定に新たな基準が加えられることとなります。
これまでは発行済株式又は出資金額を3人以下の株主等で50%超保有していれば同族会社と判定されていました。今回新たな基準として、「議決権等」が加えられます。これは、会社法改正による、種類株式の多様化を想定した改正と考えられます。
同族会社に該当すれば、留保金課税制度や行為計算の否認規定が適用されることとなるため影響は少なくありません。
また、先般掲載している「役員給与の損金不算入」の適用要件にも影響することが明らかになっていることから、注意が必要です。
※役員給与の損金不算入に関する詳細はこちらhttp://i-nex.co.jp/headline/2006/03/-18.html
議決権等の内容
今回の改正では、新たに下記の項目の1つでも3人以下の株主等で50%超有していれば同族会社と判定されることとなります。
(1)事業の全部若しくは重要な部分の譲渡、解散、継続、合併、分割、株式交換、株式移転、又は現物出資に関する決議に係る議決権
(2)役員の選任及び解任に関する決議に係る議決権
(3)役員の報酬、賞与その他の職務執行の対価として会社が供与する財産上の利益に関する事項についての決議に係る議決権
(4)剰余金の配当又は利益の配当に関する決議に係る議決権
具体例
下記の例では、持株数、配当権においては上位3人以下で50%以下となるため同族会社に該当しません。
しかし、役員再任権では、上位3人以下で50%超となるため同族会社に該当することとなります。
A B C 他少数株主 (%)
持株数 25 15 10 40 ⇒該当しない
配当権 10 10 10 70 ⇒該当しない
再任権 25 15 15 30 ⇒該当
役員給与の損金不算入の規定にも影響
上記の議決権等の改正では、今年度の税制改正項目のひとつとして、先般より取り上げている「役員給与の損金不算入」の規定にも影響を与えることとなります。
つまり、要件のひとつにあたる「同族関係者が発行済株式の90%以上を所有」の持株割合90%の判定に当たっては、上記の議決権を有する株式の持株割合が90%以上の場合にも特殊支配同族会社と判定されることとなります。
種類株式を発行している会社では、適用の可否については、慎重に判定する必要があります。
2006/05/01
- 法人税