役員給与の事前届出はいつまでに!?
平成18年度の税制改正で注目されている「役員給与の事前届出制度」について、今回はその届出の時期についてご説明します。
なお、事前届出が必要となる役員給与の範囲については前回の税務情報ヘッドラインをご参照下さい。( http://i-nex.co.jp/headline/2006/04/post-49.html )
役員給与の事前届出の期限は?
(1)その役員給与に係る職務執行が開始する前(原則)
(2)会計期間の開始の日から3ヶ月以内(例外)
上記のうちいずれか早い時期とされることが明らかになりました。
この役員給与の届出は平成18年4月1日以後に対応する職務執行が開始する給与から必要となります。
届出期限の趣旨
届出の期限が上記のようになっている趣旨は以下の通りです。
(1)その役員給与に係る職務執行が開始する前(原則)とされる趣旨
→役員と会社の間には委任関係があり、職務執行と対応する期間についての給与は契約時に決定しているはずとの考えに基づきます。
(2)会計期間の開始の日から3ヶ月以内(例外)が認められる趣旨
→役員の選任は株主総会の決議によっており、給与は株主総会の決議時に決定されているはずとの考えに基づきます。
また、この例外は職務執行前に支給時期・支給額が決まっていることが明らかな場合を前提とされています。
事例による解説
平成18年3月決算法人の場合で定期同額給与を支給し、更に役員の職務期間を通じて毎年6月と12月に給与を支給する旨を定めた場合の届出期限は以下の通りになります。
《条件》
・会計期間は平成18年4月1日から平成19年3月31日
・1月から6月にかけての職務執行期間に係る給与は6月に支給される。
・7月から12月にかけての職務執行期間に係る給与は12月に支給される。
(a)平成18年6月支給の給与分についての届出
(1)による場合
→職務執行の開始前である平成17年12月末まで
(2)による場合
→会計期間開始後3ヶ月以内である平成18年6月末まで
上記の期限のうち、原則である(1)による期限である平成17年12月末が(2)による期限より早い時期ということになり、平成17年12月末が届出期限となります。
当該届出期限は既に経過しており、また、法施行前であることから届出ができないこととなります。
但し、職務執行前に平成18年6月支給分について、支給時期及び支給額が具体的に決まっていることが明らかな場合に限って、届出期限が(2)の例外である会計期間後3ヶ月以内とする経過措置が設けられる予定です。
この場合、平成18年6月末支給分についても同月末までに届け出ればよいこととなりますので今後の発表にご留意下さい。
(b)平成18年12月支給の給与分についての届出
(1)による場合
→職務執行の開始前である平成18年6月末まで
(2)による場合
→会計期間開始後3ヶ月以内である平成18年6月末まで
上記(1)と(2)の期限は一致しており、平成18年6月末までに届出が必要となります。
当該届出制度の適用にあたっては、職務執行の対価であるにも関わらず、支給方法形態が定時定額でないために損金不算入とされてきた部分についての救済が目的となっています。
従って、《条件》にも記載したような自社における役員給与と職務執行期間との対応関係を確認する必要があることにご留意下さい。
2006/04/21
- 法人税