役員退職金の損金経理要件の廃止について
引当金を直接取り崩す経理処理が可能に
平成18年度の税制改正により、現行の法人税法第36条「過大な役員退職給与の損金不算入」が「過大な使用人給与の損金不算入」に改められました。
その結果、役員退職金を費用計上するためには法人税法上不可欠とされていた損金経理要件が、廃止されることとなりました。
支給時に役員退職給与引当金を直接取り崩し
役員退職給与引当金を利益処分によって有税により積み立てている企業は、実際に役員の退職に際して退職金を支給する場合には、積み立ててきた役員退職給与引当金を取り崩すこととなります。
支給する場合の経理処理については、損金経理することで法人税法上の費用計上が認められており、一般的な積立時と支払い時の仕訳は次のようになっていました。
(積立時)
未処分利益剰余金/役員退職給与引当金
(支払時)
役員退職給与引当金/役員退職給与引当金取崩益
役員退職金/現金・預金
そして、P/Lを作成する際に、益金計上している役員退職給与引当金取崩益と費用計上されている役員退職金を相殺処理し、注記で役員退職金の支給額を役員退職給与引当金取崩益と相殺している旨を表示していました。
今回の改正により、役員退職金の支払い時に損金経理処理が必要でなくなるため、支払時の実務は、
(支払時)
役員退職給与引当金/現金・預金
という仕訳で、役員退職給与引当金を直接取り崩す経理処理で、別表四と、別表五(一)の減算処理が可能になります。
役員退職慰労金支給規定を設けている企業にとっては、経理実務上の影響が大きな改正となります。
この規定は平成18年度4月1日以後に開始される事業年度から適用となることから、この6月の株主総会で決議される役員退職金については、新しい規定が適用されます。
実務上の取扱いについては、通達によって定められている部分が大きいので、今後の関連通達の改正内容が注目されます。
2006/03/29
- 法人税