〜デット・エクイティ・スワップは4月末までに行おう!〜
デット・エクイティ・スワップは債務者側も時価で資本金額を認識!
会社救済の手段の一つであるデット・エクイティ・スワップについて、従来から債権者側の処理に関する規定はありましたが、会社法の改正に伴う法人税法の改正により、債務者側においても債務の時価が資本金等の金額とされることになりました。
1.デット・エクイティ・スワップとは
(1)債権者と債務者の事後の合意に基づき、
(2)債権者側からは債権を株式にする取引、
(3)債務者側からは債務を資本とする取引で、
(4)主に債務者が財務的に困難な場合に債権者の合意を得た再建計画の一環として行われるものです。
通常は再建計画等に基づき債権者がその債権を債務者に現物出資することによって行われます。
2.債権者側の処理−債権の現物出資−
デット・エクイティ・スワップを行った場合、当該債権は消滅し、
(1)対価として受取った株式を時価で評価し、
(2)消滅した債権の帳簿価額との差額を当期の損益として処理します。
例)債権額を100、債権の時価を20とすると
(借方)(株 式)20 (貸方)(債 権)100
(債権譲渡損)80
但し、再建支援に必要な額を超える出資等、支援に経済的合理性がない場合には寄付金認定される点に留意が必要です。
3.債務者側の処理−債務と資本の振替—(新たに改正された処理)
会社法の制定に伴い、平成18年度の税制改正では法人税法で以下の改正が行われます。
(a)株式の発行等により増加する資本金等の金額は、払い込まれた金銭の額及び給付を受けた金銭以外の資産の価額となります。
(b)会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度(法人税法59条)について、更生手続開始の決定等があった場合における対象となる事由に、自己に対する債権の現物出資を受けたこと等に伴いその債権に係る債務の消滅益が計上される場合が追加されることとなります。
従って(a)より、会社法施行後にデット・エクイティ・スワップで新株を発行する場合、
(1)債務の時価が資本等の金額となり、
(2)消滅した債務の帳簿価額との差額が債務消滅益として認識されます。
例)債務額を100、債務の時価を20とすると
(借方)(債 務)100 (貸方)(資 本 等) 20
(債務消滅益)80
但し、このままでは債務消滅益に対し課税関係が生ずることとなるため、(b)に当たる場合には、繰越欠損金が損金の額に算入されることとなり、課税が減殺されるような手当てがなされています。
2006/03/01
- 法人税