〜新会社法・配当の改正〜利益配当が何度でも!
平成18年5月施行予定の新会社法では、配当に関して取扱いが変更されます。今回はその主なものについてご説明いたします。
1.1事業年度に何度でも配当を行うことが可能に
・現行法
→利益の配当は通常の期末配当と中間配当の年2回に制限されています。
・新会社法
→制限されることなく年に何回でも配当を行うことが可能となります。
2.取締役会決議による配当が可能に
・現行法
→通常の期末配当を行うのに株主総会の普通決議が必要です。(ただし、委員会等設置会社においては取締役会の決議によることが可能です。)
・新会社法
→次のすべての要件を満たす場合は、取締役会の決議によることが可能となります。
(1)取締役会・監査役会・会計監査人のすべてを設置する。
(2)取締役の任期を1年とする。
(3)定款に取締役会の決議にて配当できることを定める。
(4)最終事業年度に係る計算書類が適法決算である。
3.配当原資が金銭以外の財産でも可能なことが明文化
・現行法
→通常の配当において金銭以外の財産を配当することについては明文規定ありません。また、中間配当については法律上、「金銭の分配」と明記されています。従って、金銭の交付によることが基本とされています。
・新会社法
→通常の配当(注1)において金銭以外の財産(注2)を交付することが明文で認められることとなりました。
(注1)中間配当については金銭のみです。
(注2)自己株式・自己新株予約権・自社の社債を除きます。
4.期間利益を配当可能利益(分配可能額)に反映することが可能に
・現行法
→配当可能利益の算出に期間利益を反映させることはできません。 前期末の貸借対照表上の純資産額から資本の額や法定準備金の額など一定の金額を差し引いた残額が配当可能利益となります。
・新会社法
→臨時決算(期中に行う決算に準じた手続き)を行う場合は、前期末から臨時決算日までの 期間損益を反映させることができます。
配当可能利益(新会社法では分配可能額といいます。)は次により計算した金額となります。
分配可能額=(a)+(b)+(c)−(d)
(a):前期末の純資産額から資本の額や法定準備金の額などを差し引いた残額
(b):前期末後の下記の変動額
→資本金・準備金減少額−自己株式の処分・消却額(帳簿価額)−剰余金配当額
(c):臨時決算による下記の金額
→期間損益+自己株式処分の対価
(d):法務省令で定める一定の金額
2006/02/20
- 会社法・医療法等