会社法改正?〜有限会社から株式会社へ組織変更した場合に評価益が計上できなくなる〜
会社法施行前の組織変更による評価益の活用方法
法人税法上は資産の評価益は原則として認められません。
ただし、有限会社から株式会社への組織変更等に伴って行う資産の評価替えの場合には例外的に評価益の計上が認められます。
そこで、現状では債務超過や繰越欠損金を抱えている有限会社は、組織変更時に評価益を計上することでこれを相殺して財務内容を整えるなどの利用が可能となっています。
会社法施行後は評価益の計上ができなくなる
しかし、今回の会社法の改正では現行の株式会社と有限会社とを株式会社という一つの会社類型とすることとしており、会社法の施行後に有限会社制度は廃止されることとなっています。
すなわち、既存の有限会社は定款変更を決議して、解散・設立の登記を行う事で、通常の株式会社へ移行する事が可能となります。
会社法施行後の移行であれば、資本金1000万円という現行の最低資本金規制に掛からないことから、債務超過や繰越欠損金を抱える既存の有限会社がこのタイミングで株式会社に移行すれば、株式会社化と評価益の計上を同時に行う事ができ、対外的な信用度のアップを図れるように思われていました。
しかし、残念ながら会社法施行後の組織変更による評価益は計上できない事が経過措置の取り扱いで明らかになりました。
そこで、最低資本金規制をクリアできる(自己資本が1000万円以上又は増資が可能な)有限会社で財務内容を整える意思のある有限会社については、会社法の施行まで待たず、あえて施行前に組織変更を行う事も一つの選択かもしれません。
有限会社の組織変更時のまとめ
施行前と施行後では上記のように区分されます。
最低資本金規制 組織変更時の評価益の計上
現行 あり 可
施行後 なし 不可
会社法施行後の組織変更の取り扱いは商号変更
既存の有限会社は会社法施行後は特別な手続き無しに「特例有限会社」という会社法の規定による株式会社として存続することになり、「有限会社の定款」は「株式会社の定款」と、「社員」は「株主」などと、それぞれみなされます。
つまり、会社法施行後は、有限会社は、ほぼ現行の有限会社類型のまま「会社法上のみなし株式会社」として存続できる事になっており、会社法が施行された時点で既に株式会社になっているため、株式会社への組織変更ではなく、定款変更による特例有限会社(会社法上のみなし株式会社)から普通の株式会社への商号変更にすぎないと考えられるためです。
2005/06/14
- 会社法・医療法等