消費税の転嫁拒否対策
平成25年10月より、消費税転嫁について問題行為のある特定事業者(買い手)に対する調査がスタートしております。これは「消費税転嫁対策特別措置法」の終期である平成29年3月31日まで続けられます。
?●特定事業者とは
?転嫁拒否等をする側、つまり「買い手」のことを指します。
?????大規模小売事業者(売上高100億円以上、または店舗の床総面積3,000?以上)
⇒一般消費者が日常使用する商品の小売業を行う者(大手スーパー・コンビニなど)
??????中小企業等と継続して取引している法人
⇒資本金の額または出資の総額が3億円以下の事業者や個人事業者等と継続して商品などの取引をしている事業者
※但し、?と継続的に取引のある事業者について、資本金の額または出資総額が3億円を超える場合には特定供給事業者(売り手)とはなりません。
●具体的な禁止行為
以下のような行為のことを指します。
?????減額?: 消費税分を支払わないこと/売り手と本体価格に消費税分を上乗せする契約をしていたのに、実際に支払う段階になって消費税分を下げること。
?????買いたたき?: 原材料費は変わらないのに、新しい税率の消費税分を上乗せした税込価格よりも低い税込価格を売り手に対して指定する。
※但し、売り手の責任で納期が遅れた場合に、その責任として取引価格を下げる場合などを除きます。
?????商品購入の要請?: 売り手が買い手の指定する商品を購入しなければ、消費税の上乗せに当たって不利な取り扱いをすることを示唆する。
?????役務利用の示唆?: 売り手にディナーショーのチケットの購入をお願いしたり、買い手が保有する宿泊施設の利用を要請したりする。
?????利益提供の要請?: 消費税の上乗せに応じる代わりに売り手に対して協賛金を要請したり、売り手の従業員やスタッフの派遣を要請する。
???? 他、売り手が提出した「本体価格と消費税額を別々に記載した見積書等」を買い手が拒み、消費税額を加えた総額のみを記載した見積書等を再度提出させることなど。
●消費税の転嫁拒否等の防止策
違反行為に対しては、公正取引委員会・中小企業庁・主務大臣による検査・指導等が行われ、悪質な事例については「社名の公表」など厳しい措置が講じられます。
?????違反行為に対する指導
1.転嫁を拒否した消費税額分を支払うこと
2.遡及的に消費税率を引上げ分を対価に反映させること
3.転嫁と引き換えに購入させた商品を引き取り、商品の代金を返還すること
4.特定供給事業者(売り手)が従業員を派遣したことにより、受けた利益を返還すること
5.消費税を含まない価格で価格交渉を行うこと
6.指導に基づいて採った措置を売り手に周知すること
7.違反行為の再発防止のための研修を行うなど、社内体制の整備のために必要な措置を講ずるとともに、その内容を自社の役員及び従業員に周知徹底すること
8.今後、転嫁拒否等の行為を繰り返さないこと、など
???? 転嫁対策調査官
⇒消費税の転嫁拒否等の被害について聞き取り調査を行う転嫁対策調査官を新たに配置するなどの監視・検査体制の強化に取り組みます。
?????事業者への立入検査を行い、転嫁拒否等の違反行為を摘発
⇒具体的な流れは以下のようになります。
相談・・・府共通の窓口、経済産業省、中小企業庁の相談窓口などがあります。
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立入検査・報告・・・公正取引委員会、主務大臣、中小企業庁長官などが行います。
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指導・助言・・・買い手に対して違反行為の防止と是正のための助言など。
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措置請求・・・違反行為がある場合には、措置を求められることがあります。
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勧告・公表・・・違反行為があると認める場合には、買い手に対して速やかに消費税の転嫁に応じること、その他必要な措置を取るように勧告し、その旨を公表します。
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消費税の転嫁行為とその違法性、また公的機関による調査の内容・講じられる措置等を理解した上で、今後の消費税改正に対する準備が必要です。
2013/12/02
- 消費税