税制改革の行方
今回は、現在政府で検討されている今後の税制改革の方向性に
ついて、その概要をご説明します。
1. 消費税
社会保障の安定財源確保と財政健全化を同時に実現するため、
2010年代半ばまでに段階的に消費税の税率(国・地方)を10%まで
引き上げることが予定されています。
逆進性の問題については、消費税率が一定の水準に達し、
税・社会保障全体の再配分を見てもなお対策が必要となった
場合には、複数税率よりも給付などによる対応を優先すること
を基本に総合的に検討されることとなっています。
2. 法人税
日本企業の海外流出を防止し、外資系企業の日本国内への
進出を促進することにより、日本国内の産業空洞化を回避する
という観点から、課税ベースの拡大等と併せ、法人実効税率の
引き下げが検討されています。
3. 所得税
格差の是正や所得再配分機能等の回復のため、各種の
所得控除の見直しや税率構造の改革が予定されています。
給付付き税額控除については、所得把握のための番号
制度等を前提に、関連する社会保障制度の見直しと併せて
検討が進められる予定です。
4. 資産課税
相続税については課税ベースと税率構造の見直し、負担の
適正化が予定されています。世代を超えた資産格差の固定化
にも配慮した贈与税の軽減も同時に検討されています。
5. 最後に
上記の内容は以前からも検討されてきましたが、震災の
影響等で一時棚上げされていました。
また、消費税の増税を含む税制の抜本的改革が実施される
ためには、経済状況の好転が条件となっています。
2011/07/21
- 税制改正速報