同族会社経営者の家族は使用人兼務役員になれない!?
同族会社とは、株主等とその同族関係者が、その会社の株式総数の過半数を所有している会社をいいます。同族会社は一部の株主や経営者の意思により利益調整がしやすいことなどから、課税上様々な個別の措置が設けられていますが、その一つに、使用人兼務役員の範囲の制限があります。
1. 使用人兼務役員とは?
使用人兼務役員とは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有する人をいいます。使用人兼務役員については、その使用人としての職務が存在するため、通常の役員とは異なり、その報酬は原則として損金に算入することができます。
2. 同族会社の場合の特例
同族会社については、職制上の地位がなくても、3グループの株式所有割合が50%超で、役員自身の属する株主グループが10%超所有し、さらに"役員自身が5%超"所有する、というすべての要件に合致すると、使用人兼務役員にはなることができず、その報酬の全額が損金不算入となります。
3. 株式を所有していないのに!
役員自身が株式を所有していない場合でもまだ使用人兼務役員になれない可能性は残ります。というのも,"役員自身が5%超"所有の算定には、配偶者の所有株式と、夫婦が支配する会社の所有株式も含まれるからです。
たとえば、オーナー社長が80%の株式を所有する会社で、社長の配偶者が取締役総務部長の場合、配偶者が株式を所有していなくても、夫婦全体で80%所有であることから、配偶者は使用人兼務役員には該当しません。また、夫婦で経営している会社が株式の60%を保有する子会社に、夫婦のどちらか一方が取締役総務部長に就任した場合にも、使用人兼務役員には該当しません。
2011/06/20
- 法人税