所在不明株式について
所在不明株式とは
株式会社が株主に対して通知又は催告を行っているにもかかわらず5年以上継続して到達せず、かつ、その株主が5年間剰余金の配当を受領しなかった場合の株式を所在不明株式いいます。(会社法197条1項)
所在不明株式は、競売や市場売却もしくは買取りにより処分することになりますが、この場合の株式会社及び株主の課税上の取扱は以下のようになります。
1.株式発行会社の取扱
(1)競売や市場売却の場合...株式の売却価格は預り金として計上します。
(2)買取りの場合...資本金等の額及び利益積立金を減少し、買取代金を未払金として計上します。
いずれにせよ所在不明株式はそもそも所在不明株主のものであり、競売等は代理で行ったに過ぎないので課税所得は発生しないのです。
その後においては、債務の消滅時効が成立した際には預り金や未払金を雑収入として処理することになります。消滅時効の成立は10年間行使されないことにより生じることになります。(民法167条1項)
2.所在不明株主が個人の場合
(1)競売や市場売却の場合...譲渡所得となります。
(2)買取りの場合...?と同様に譲渡所得となります。ただし、交付を受けた金銭の額等
が会社の資本金等の額等のうち当該株式に対応する部分の金額を
超える部分の金額はみなし配当として配当所得となります。
なお、譲渡所得やみなし配当所得の収入に計上すべき時期は、競売等の日や会社による株式の取得日となります。
3.所在不明株主が法人の場合
(1)競売や市場売却の場合...譲渡利益や譲渡損失額を益金または損金に算入します。
(2)買取りの場合...譲渡利益や譲渡損失額を益金又は損金に算入します。交付を受けた
金銭の額等が資本会社の資本金等の額等のうち当該株式に対応する
部分の金額を超える部分の金額はみなし配当とします。
これらについては、競売等が行われた日もしくは買取りが行われた日の属する事業年度の譲渡損益とします。
次回の予告
今回は所在不明株式について紹介させて頂きました。
次回は、エネルギー需給構造改革推進投資促進税制(エネ革命税制)についてします。
以上
2009/10/09
- 法人税