【会社設立】4 会社と税金
前回は会社設立の際に必要となる届出について紹介させていただきました。
会社を設立したら気になるのは、やはり、税金のことではないでしょうか?
今回は、会社にかかる税金についてご説明します。
(1)法人税の所得の計算
法人税は各事業年度の所得の金額を課税標準としています。法人税法上の所得の金額は、その事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額です。これは会計上の利益とは必ずしも一致しません。そこで、会計上の利益を調整して所得を導き出します。
(2)法人税の税額の計算
各事業年度の所得に対する法人税の額は、所得の金額に30%の税率を乗じて計算した金額です。事業年度終了時の資本金の金額が1億円以下であれば、年間800万円以下の部分は軽減税率が適用され18%になります。その他、法人事業税、法人住民税が課税されます。
(3)法人税におけるメリット
?個人と法人の税率の違い
法人では原則として所得額に関わらず一定の税率が課せられますが、個人事業者の場合は所得が高いほど高い税率となる超過累進税率が採用されています。したがって、所得が多い人ほど、法人化した方が適用される税率が低くなり、有利となります。
?給与所得控除
個人事業者の場合は、事業で得た収入から経費を除いた成果が全額経営者に帰属します。一方、法人では経費として経営者に給与を支給することができます。これは一定の要件を満たせば損金として認められるので、法人の課税所得を抑えることができます。また、受け取った給与から給与所得控除を受けることができます。給与所得控除とは、給与収入に対する経費として概算的に認められるもので、その分だけ課税所得が低くなります。経営者と家族従業員に給与を分散することにより、さらに税負担を低く抑えることができます。
?欠損金の繰越控除
個人事業者の場合は、損失の繰越は3年しかできませんが、法人では欠損金を7年間繰り越すことができます。大きな損失が発生した場合は、繰り越せる期間が長いので、非常に有利となります。
?退職金の支払
個人事業の場合、退職金を事業主に支払うという概念がなく、家族従業員への退職金の支払も必要経費として認められません。しかし、法人であれば、法人から経営者本人や家族従業員へ退職金を支払うことができ、その金額が適正であれば法人の損金として認められます。この退職金は所得税が課税されることもありますが、課税上優遇されていますので、大きな節税効果が期待できます。
?その他
上記の他にも、さまざまなメリットがあります。たとえば、出張日当を経営者にも支払うことが出来たり、生命保険料の全部又は一部を損金算入することができます。
(1)消費税の概要
消費税は「消費」に対して課される税金です。税金を負担する者は物を買ったり、サービスを受けた者ですが、申告・納付する義務がある者は、消費税を販売価格に含めて預かった事業者になります。納税義務者は、預かった消費税から、仕入に際して支払った消費税を差し引いた金額を計算して申告・納付します。消費税の対象とはならない非課税取引・不課税取引となるものがありますので、消費税の計算のためにも日頃から厳密な会計処理を行っておく必要があります。また、消費税は赤字の場合でも納税が発生することが多いので、注意が必要です。
(2)消費税におけるメリット
法人設立の際には、消費税の免税効果が期待できます。法人が消費税の納税義務があるかどうかについては、通常、基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定します。設立1期目、2期目の会社にとって、前々事業年度というのは会社ができる前のことなので、基準期間は存在しないことになります。ただし、その事業年度開始の日における資本金の額が1,000万円以上である法人は、基準期間がない事業年度においては、納税義務が免除されません。法人設立による消費税の免税効果を最大限に受けるためには資本金の額を1,000万円未満にする必要があります。
(1)交際費の限度額
法人の場合は、損金に算入できる限度額が定められています。資本金が1億円以下の場合、法人が支出する交際費のうち600万円を超える部分については全額、600万円以下の金額についてもその10%は損金に算入されません。個人事業者の場合は、事業遂行上必要なものは全額必要経費と認められるので、不利となります。
(2)住民税の均等割課税
個人事業者の場合は、赤字であれば所得税、住民税、事業税はかかりません。法人の場合は利益があってもなくても、法人住民税の均等割が課税されます。均等割の金額は資本金額と従業員数によって異なりますが、最低でも年間7万円程度課税されます。
(3)決算手続の複雑化
法人の場合は、利益があってもなくても毎期必ず決算を行い、申告をすることが義務づけられています。法人の決算は、厳密な会計処理が求められるため、事務負担が増加します。個人事業者の場合と比較すると、手続きがとても複雑で作成する書類も多くなります。
会社に関する税務につきましては、毎年のように税制改正や会計基準の変更が行われています。このような会計・税務に対応するのはもちろんのこと、将来にむけての財務的な観点からもお手伝いさせていただきたいと思っております。会計・税務について、ご心配な問題がありましたら、お気軽に弊社までご相談ください。お客様にとって最善の解決策をご提案させていただきたいと思います。
次回の予告
今回は会社と税金について紹介させていただきました。
次回は「助成金・融資」についてご説明します。
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会社設立パックのご紹介
アイネックスは会社設立された方向けの税務顧問サービスを用意しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
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会社を設立したら気になるのは、やはり、税金のことではないでしょうか?
今回は、会社にかかる税金についてご説明します。
1 法人税
(1)法人税の所得の計算
法人税は各事業年度の所得の金額を課税標準としています。法人税法上の所得の金額は、その事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額です。これは会計上の利益とは必ずしも一致しません。そこで、会計上の利益を調整して所得を導き出します。
(2)法人税の税額の計算
各事業年度の所得に対する法人税の額は、所得の金額に30%の税率を乗じて計算した金額です。事業年度終了時の資本金の金額が1億円以下であれば、年間800万円以下の部分は軽減税率が適用され18%になります。その他、法人事業税、法人住民税が課税されます。
(3)法人税におけるメリット
?個人と法人の税率の違い
法人では原則として所得額に関わらず一定の税率が課せられますが、個人事業者の場合は所得が高いほど高い税率となる超過累進税率が採用されています。したがって、所得が多い人ほど、法人化した方が適用される税率が低くなり、有利となります。
?給与所得控除
個人事業者の場合は、事業で得た収入から経費を除いた成果が全額経営者に帰属します。一方、法人では経費として経営者に給与を支給することができます。これは一定の要件を満たせば損金として認められるので、法人の課税所得を抑えることができます。また、受け取った給与から給与所得控除を受けることができます。給与所得控除とは、給与収入に対する経費として概算的に認められるもので、その分だけ課税所得が低くなります。経営者と家族従業員に給与を分散することにより、さらに税負担を低く抑えることができます。
?欠損金の繰越控除
個人事業者の場合は、損失の繰越は3年しかできませんが、法人では欠損金を7年間繰り越すことができます。大きな損失が発生した場合は、繰り越せる期間が長いので、非常に有利となります。
?退職金の支払
個人事業の場合、退職金を事業主に支払うという概念がなく、家族従業員への退職金の支払も必要経費として認められません。しかし、法人であれば、法人から経営者本人や家族従業員へ退職金を支払うことができ、その金額が適正であれば法人の損金として認められます。この退職金は所得税が課税されることもありますが、課税上優遇されていますので、大きな節税効果が期待できます。
?その他
上記の他にも、さまざまなメリットがあります。たとえば、出張日当を経営者にも支払うことが出来たり、生命保険料の全部又は一部を損金算入することができます。
2 消費税
(1)消費税の概要
消費税は「消費」に対して課される税金です。税金を負担する者は物を買ったり、サービスを受けた者ですが、申告・納付する義務がある者は、消費税を販売価格に含めて預かった事業者になります。納税義務者は、預かった消費税から、仕入に際して支払った消費税を差し引いた金額を計算して申告・納付します。消費税の対象とはならない非課税取引・不課税取引となるものがありますので、消費税の計算のためにも日頃から厳密な会計処理を行っておく必要があります。また、消費税は赤字の場合でも納税が発生することが多いので、注意が必要です。
(2)消費税におけるメリット
法人設立の際には、消費税の免税効果が期待できます。法人が消費税の納税義務があるかどうかについては、通常、基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定します。設立1期目、2期目の会社にとって、前々事業年度というのは会社ができる前のことなので、基準期間は存在しないことになります。ただし、その事業年度開始の日における資本金の額が1,000万円以上である法人は、基準期間がない事業年度においては、納税義務が免除されません。法人設立による消費税の免税効果を最大限に受けるためには資本金の額を1,000万円未満にする必要があります。
3 法人設立のデメリット
(1)交際費の限度額
法人の場合は、損金に算入できる限度額が定められています。資本金が1億円以下の場合、法人が支出する交際費のうち600万円を超える部分については全額、600万円以下の金額についてもその10%は損金に算入されません。個人事業者の場合は、事業遂行上必要なものは全額必要経費と認められるので、不利となります。
(2)住民税の均等割課税
個人事業者の場合は、赤字であれば所得税、住民税、事業税はかかりません。法人の場合は利益があってもなくても、法人住民税の均等割が課税されます。均等割の金額は資本金額と従業員数によって異なりますが、最低でも年間7万円程度課税されます。
(3)決算手続の複雑化
法人の場合は、利益があってもなくても毎期必ず決算を行い、申告をすることが義務づけられています。法人の決算は、厳密な会計処理が求められるため、事務負担が増加します。個人事業者の場合と比較すると、手続きがとても複雑で作成する書類も多くなります。
会社に関する税務につきましては、毎年のように税制改正や会計基準の変更が行われています。このような会計・税務に対応するのはもちろんのこと、将来にむけての財務的な観点からもお手伝いさせていただきたいと思っております。会計・税務について、ご心配な問題がありましたら、お気軽に弊社までご相談ください。お客様にとって最善の解決策をご提案させていただきたいと思います。
次回の予告
今回は会社と税金について紹介させていただきました。
次回は「助成金・融資」についてご説明します。
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2009/08/20
- 法人税