機械装置の新耐用年数適用に伴う諸問題を徹底解説!
20年税制改正により「機械装置」はすべて「○○業用設備」として定められました。
それに伴い、機械装置もそれぞれに対応した、耐用年数の変更が求められます。
今回は、変更処理に伴い、その判断に迷われると思われる事項につき解説いたします。
(1)償却方法の異なる機械装置が新区分により同一種類になった場合の償却方法
耐用年数の大括り化に伴い,種類の異なっていた設備が同一の種類になった場合には,それぞれ次のように取り扱われます。
(1)種類の異なる設備に同一の償却方法を選択している場合・・・選択している償却方法を選定したものとみなされる
(2)種類の異なる設備に別々の償却方法を選択している場合・・・いずれかの償却方法に統一するため届出書を提出する
なお,その届出をしなかった場合には,法定償却方法を選定したものとみなされます。したがって,旧定率法または定率法に統一するのであれば,届出は要しません。
例)
旧区分
A設備・・・定額法
B設備・・・定率法
新区分(届出書は提出していない)
C設備(旧A設備と旧B設備)・・・定率法
(2)耐用年数が改正された場合の中古資産の耐用年数の見積り替えの可否
中古資産の耐用年数の見積方法には,?見積法と?簡便法(法定耐用年数−経過年数+経過年数×20%とする方法)とがあります。
中古資産の取得時にいずれの方法を適用していたかにより,それぞれ次のように取り扱われます。
(1)見積法を適用している場合
その改正後の法定耐用年数を基礎として使用可能期間の見積り替えをすることはできません。
ただし,改正後の法定耐用年数が現に適用している耐用年数よりも短いときは,改正後の法定耐用年数を適用することができます
(2)簡便法を適用している場合
法定耐用年数が短縮されたときは,改正後の法定耐用年数を基礎に簡便法により見積り替えをすることができます。
ただ,見積り替えをする場合の経過年数は,法定耐用年数が改正されたときの経過年数ではなく,中古資産を取得したときの経過年数によることに留意しなければなりません。
(3)耐用年数が長くなった場合
法定耐用年数が短縮されたときは見積り替えができる旨は定められていますが,法定耐用年数が長くなった場合の取扱いはありません。
しかし,法定耐用年数が長くなった場合に見積り替えをすると,見積り耐用年数が長くなります。
これは,上述したとおり,簡便法を適用する場合の「経過年数」は,あくまでもその中古資産を実際に取得したときまでの経過年数によらなければならないからです。
例)
従来10年であった耐用年数が11年になり,中古資産の取得時の経過年数が6年,法定耐用年数改正時の経過年数が8年の場合
改正前
(10年−6年)+6年×0.2=5.2年→5年
改正後
(11年−6年)+6年×0.2=6.2年→6年
(11年−8年)+8年×0.2=4.6年→4年とすることはできません。
尚、簡便法を適用している場合の見積り替えは強制適用ではありませんから,法定耐用年数が長くなった場合には,見積り替えをしないことが得策です。
(4)見積り替えの時期
簡便法を適用していた場合の耐用年数の見積り替えは,改正後の耐用年数省令の規定が適用される最初の事業年度において行う必要があります。
(3)まとめ
21年3月決算法人より、本格的に機械装置の新耐用年数への変更処理が行われており、実務家の方々も、その対応に追われているかと思います。
ただし、変更処理については、上述したように、税務上の有利不利の判断が必要となる場面があるため、今後もその対応には注意を要します。
2009/06/01
- 法人税