無利息融資の利息相当額は雑所得に!?
代表者から同族会社への多額の無利息融資に対して、利息相当分を雑所得として課税する最高裁判決が下されました。
■多額の無利息融資についての判決
これは、パチンコ機器メーカーの元会長に対して、同族会社への3000億円超の無利息融資の利息を受け取らないことを不当として、税務当局がその利息相当分を雑所得認定したことにより、これを不服とした元会長が起こしていた上告審による判決です。
最高裁は、課税処分を一部取消した二審の高裁判決を覆し、『利息課税は相当である』として国側勝訴の逆転判決を下しました。
審査請求の段階から数えると10数年に及んだこの事件も、今回の最高裁判決で決着したことになります。
この事件は、これまで無利息融資に対して所得認定をしないというのが一般的な認識であり、国税当局が執筆した税務解説書の記載内容にも、個人から法人への無利息融資には所得税を課さない旨の見解があることから、所得税の基本原則に反するものとして話題を呼んでいました。
■今後は課税されるのか?
今回の事件では、融資金額が3000億円超という多額で、無担保・無期限の貸付ということでもあったため、上記の税務解説書での記載事例である『500万円の運転資金の融資の場合には、所得認定はされない』ということとも状況が異なると指摘されています。
そのため、同族会社への無利息融資の利息相当額がすべて課税されるということにはなりません。
ただ、今回の判決により、無利息融資に対して利息相当額が課税される可能性が出てきたことになりますので、同族会社へ無利息融資をしている場合には、返済方法などの整備を検討する必要があると思われます。
2004/07/30
- 所得税