〈実質一人会社オーナー社長給与の損金不算入〉〜part3〜
役員給与の損金不算入額について、前々回から紹介していますが
今回は、複数会社での業務主宰役員を兼任している場合はどうなるのか?というテーマです。
*按分計算の方法を利用するほうが個別計算より断然有利
複数会社で業務主宰役員を兼任しているオーナー社長のようなケースの損金不算入額については、各社別々に計算するよりも合算して各社に按分する方法をとることで、節税が図れます。
ただし、この方法をとるためには一定の手続きが必要となります。
複数会社の業務主宰役員を兼ねている役員給与の損金不算入額の計算方法は、
(1)按分計算による計算
(2)各々の給与額による計算
の選択性となっています。ただ按分計算のほうが、損金不算入となる給与所得控除額の累進率が緩和されるため、(2)の方法による金額は、確実に(1)の額よりも高額になってし まいます。
このため、(1)の方法をとることで節税が図れることになります。
○節税インパクト
1.按分計算による場合
自社業務主宰役員給与と合算対象給与額とを合計して損金不算入額を計算し、これを業務主宰役員給与の額の比で按分した金額をそれぞれの損金不算入額とします。
(注)・合算対象給与額には基準所得金額によって適用除外となった会社の
給与額についても含まれます。
・適用除外の判定にかかる基準所得金額の計算は
他社と合計して判定しません。
A社 B社 合計
業務主宰役員給与 800万円 1200万円 2000万円
損金不算入額 ? 108万 ?162万 ?270万
*まずこれを計算後
A社、B社に按分
A社 270万 × 800万/2000万 = 108万
B社 270万 × 1200万/2000万 = 162万
2.個別計算による場合
前々回の、実質一人会社オーナー社長給与の損金不算入〉part1の計算式から
按分計算との差額
A社 800万円 × 10% + 120万円 = 200万 92万
B社 1200万円 × 5% + 170万円 = 230万 68万
3.インパクト
この結果、按分計算によれば個別計算よりも、各社でそれぞれの金額が節税できることになります。
A社⇒約37万円
B社⇒約27万円 ※実効税率を40%として計算
○手続き
按分計算の方法を選ぶには、申告書の提出時期 までに他の特殊支配同族会社 に関する内容が記載された必要書類を提出しなければなりません。
必要書類
*業務主宰役員である他の特殊支配同族会社の社名
*常務に従事する役員の氏名等を記載した書類
*支給金額を証明する書類等
2006/09/27
- 法人税