〈実質一人会社オーナー社長給与の損金不算入〉〜part2〜
前回から、「特殊支配同族会社」の役員に対する役員給与損金不算入制度について記載しています。
特殊支配同族会社は「業務主宰役員グループ」が持株等を90%以上所有していて、さらに常務に従事する役員の過半数を占めている同族会社とされます。
今第2回は、同制度でのキーワードとなっている、「所有割合」と「常務に従事する役員」の基本的な捕らえ方を見てゆきます。
所有割合は「業務主宰役員グループ」で判定する。
判定の基礎となる「業務主宰役員グループ」は、「業務主宰役員関係者」を包含しています。そのため、発行済株式数の所有割合による判定では、「業務主宰役員グループ」に属するかどうかがポイントとなります。
持株等の割合については、次のうち1つでも90%以上であれば、特殊支配同族会社の条件に該当することになります。
・発行済株式数
・議決権付株式数
・持分会社の株主数
「業務主宰役員グループ」の範囲と、「業務主宰役員関係者」との違いは、下記の通りとなります。
●「業務主宰役員グループ」・・業務主宰役員と特殊な関係のある者のうち、個人株主+法人株主
●「業務主宰役員関係者」・・・・業務主宰役員と特殊な関係のある者のうち、個人株主のみ
参考:業務主宰役員と特殊な関係のある者の範囲
≪個人株主≫
一 業務主宰役員の親族である者
二 業務主宰役員と事実上婚姻関係と同様の事情にある者
三 業務主宰役員の使用人
四 一〜三以外の者で業務主宰役員から受ける金銭等によって生計を維持している者
五 一〜三と生計を一にするこれらの者の親族
≪法人株主≫
六 「業務主宰役員等」(業務主宰役員及び一〜五)が「同族会社を支配している場合」 におけるその同族会社
七 六若しくは八又は「業務主宰役員等」及び六若しくは八が 「同族会社を支配している場合」 のその同族会社
八 七又は業務主宰役員等及び七が 「同族会社を支配している場合」
「常務に従事する役員」は、経営に関与しているか否かで判定する。
判定の基礎となる「常務に従事する役員」とは、会社の経営に関する業務を役員として実質的に、日常継続的に遂行している役員を指します。
そのため、肩書きや名目ではなく、経済的な実質に基づいて判定されます。
この常務に従事すると言う状態をただ単純に「常勤」であるか「非常勤」であるかによって区別するわけではありません。
兼職しているかどうかの判定は、その会社以外の会社においても日々業務従事しているかによって判定されることとなります。
また、季節といった限定的な時間や期間のみ他の社で働いたといったイレギュラーな場合には、兼職しているとは判定されないこととなるようです。
「常務に従事する役員」に該当するかどうかを大まかに分けると、下記の通りとなります。
●「常務に従事する役員」に該当する役員
・取締役(常勤役員に限る)
・みなし役員(常務に従事している場合に限る)
●「常務に従事する役員」に該当しない役員
・会計参与・監査役
⇒会社法上、経営に対して権限が無いことから、経営に参加しているとは言えないため。
・使用人兼務役員
⇒常務に従事している場合であっても、取締役会への参加が日常継続的でないため。
2006/09/19
- 法人税