相続法制が変わる?
1月28日に法務省が相続法制検討ワーキングチームの第1回会議を開いたそうです。
報道によると、
「遺産分割の際に考慮される配偶者の貢献内容を見直す方針で一致した。
現行制度でほとんど勘案されない家事や介護について、相続に反映させる方向だ。
今夏に中間報告をまとめ、民法改正に向けて来年1月の新制度案策定を目指す。」
となっています。
仮に配偶者の法定相続分が増えたとすると、相続税が増税となるケースが出てくると思います。
相続税の基礎控除額を控除した後の課税遺産総額が6億円、
相続人が配偶者と子2人で遺産分割は配偶者が二分の一、がそれぞれ四分の一ずつの場合を考えてみます。
配偶者の税額軽減以外の税額控除については考慮いたしません。
相続税の計算は課税遺産総額を各相続人が民法に定める法定相続分で取得したものとして税額を計算していきます。
現行の場合…
配偶者の法定相続分は二分の一、子は残り二分の一を均等に分けるのでそれぞれ四分の一ずつになります。
法定相続分に応じる取得金額は、
配偶者:6億円×1/2=3億円
子A :6億円×1/4=1億5,000万円
子B :6億円×1/4=1億5,000万円
となります。
これを相続税の速算表に当てはめて相続税の総額の基となる金額を算出すると
配偶者:1億300万円
子A :4,300万円
子B :4,300万円
となり、相続税の総額はこれを合計して1億8,900万円となります。
それぞれが納める相続税額は相続税の総額を遺産の取得割合に応じて按分しますので
配偶者:0円
(配偶者には税額軽減措置があり
法定相続分までの取得であれば
相続税がかからないようになっています。)
子A :4,725万円
子B :4,725万円
となります。
次に、配偶者の法定相続分が三分の二になったとして相続税の総額を計算してみます。
計算過程は省略しますが、相続税の総額は1億9,900万円となります。
それぞれが納める相続税額は
配偶者:0円(配偶者の税額軽減適用後)
子A :4,975万円
子B :4,975万円
となり、子はそれぞれ250万円ずつの負担増です。
遺産分割の割合によっては逆に負担減ともなりますが、二次相続のことを考えると
配偶者に遺産を集めない方が良いこともあります。
上記のケースはあり得ない話ではないでしょう。
まだ法改正があるかどうかも分かりませんが、ふと、こんなことを考えてみました。
2014/02/18
- 相続税・贈与税