相続税の課税処分について
以下に過去あった、相続税課税判決を紹介します。どちらも課税がされなかったケースです。
【ケース1】
相続税の申告期限前に申告書を税務署へ提出しましたが、押印がされていませんでした。税務署から「ハンコを押してから提出して下さい。」と言われ、押印後提出したところ申告期限を過ぎてしまいました。課税庁側は「押印がない申告書では提出したことにはならない」として、無申告加算税を主張しました。
国税通則法124条に「書類提出者の氏名及び住所の記載等」で、押印しなければならないと、条文でうたわれております。納税については、申告期限までに全額納付済みでした。国税不服審判所の判断としては、押印漏れに過ぎないとして、無申告加算税の取り消しを行いました。
(国税不服審判所平成27年4月1日採決)
【ケース2】
亡くなる数年前に17キロの金地金を購入しました。遺言書において「2キロ相続させる」と記載があり当該キロで相続税の申告書を提出しました。課税庁側は残り15キロの行方について、行き過ぎた課税逃れとして15キロ分約6,000万円の相続税課税処分を行いました。重加算税の対象であるとも主張し、15キロの金地金は売却も生前贈与の事実もない為相続人が所有していると判断し争われたケースです。
国税不服審判所は15キロ分を相続したとまでは言えないとして、課税処分を取り消しました。
(国税不服審判所平成27年5月8日採決)
上記2ケース、どう思われますか?
今後争わない為に、申告期限や状況証拠について用意周到であることが、最良な方法かもしれないですね。
2015/07/30
- 相続税・贈与税