ジュニアNISA制度に関する注意点
子供への資金移転の活用方法の一つとして、ジュニアNISA制度があります。
ジュニアNISAの注意点の最も大きな点は、生前贈与として110万円の非課税枠の対象となることです。
1:制度の概要
平成27年から35年の間に口座を開設し、非課税の期間は最長5年です。年間80万円まで投資ができるため、最大で400万円(=80万円×5年)までの預け入れ可能です。そして、上場株式等の売却や配当については、非課税となる制度です。
2:注意点
(1)子供名義の2つの口座が必要です 。
ジュニアNISAは子供名義の2種類の口座が必要になります。2種類の口座とは、「課税J-NISA口座」と「J-NISA口座」です。
まずは両親や祖父母が子や孫のために資金の受け皿口座を開設しなければなりません。(いわゆる、「課税J-NISA口座」と呼ばれます)この口座宛に資金を入れることになります。
上記資金を基に上場株式等を購入するともう一つの口座である「J-NISA口座」で管理されることになります。
あくまで特定口座のような管理を行うための口座であり、実際の株式売却代金は前述の「課税J-NISA」口座に入金されます。
(2)勝手に引き出すことはできない。
大人でもNISA制度がありますが、子供のNISAについては、"基準年"という制度が設けられており、 "基準年"とは"その年の3月31日に18歳である年"のことを言います。
原則として、基準年の前年12月31日までは引出ができないことになっております。
これに違反して引き出してしまうと、払出日までの株式の譲渡益や配当金について20%の税率で課税されてしまい、非課税の効果は無くなります。
(3)贈与であるという認識を持って頂くことが必要です。
「課税J-NISA」口座へ資金を入れる事の意味を考えてみましょう。
子や孫名義の口座を開設しそこに毎年最大で80万円の資金を投入する、その行為自体子や孫への贈与にほかなりません。
80万円の贈与は、非課税枠の110万円の範囲内であるため課税されることはありませんが、毎年80万円を「課税J-NISA」口座へ入れたら残り30万円の非課税枠しか残っておりません。
(4)名義預金問題との関係について。
この制度を使えば、公明正大に父母又は祖父母から子や孫へ資金が流れる事が証明されます。
相続税の調査で問題になる、「本当に贈与があったのかどうか、名義を借りているだけの名義預金なのではないか」についての問題点が解消されその意味では使い勝手が良いものになります。
また、贈与を考える場合、贈与を行う側と貰う側双方において贈与という行為に対する認識があることが重要です。
今回のケースでいきますと、歴とした贈与と認定されますので最大のメリットとなります。
ただ、将来子供が大人になった時、これが相応の価値のある財産になっているか分かりませんので、子供からしてみると現金で残しておいてもらった方がうれしいのに、ということになるかもしれません。
大切な110万円の非課税枠です。適用にあたっては慎重な判断求められそうです。
2015/04/30
- 相続税・贈与税