FX取引により生じた利益と損失の税務
最近、FX取引という少額の資産で多額の取引ができる外国為替取引を行う人が増加しています。
ハイリスク・ハイリターンという取引の性質上、多額の利益や損失が発生しやすい取引となっています。
この取引で発生した所得は、雑所得として区分され、課税されることとなります。
そのため、一定のFX取引を除き、所得が発生した人は、確定申告をすることとなります。
取引人口の増加により、気づかぬうちに申告漏れになって、税務署からの指摘を受けかねない場合があるので注意が必要です。
◆利益が出たときの税務
FX取引で、利益が出た場合、その取引形態により、申告が不要な形態と必要となる形態があります。
▸申告が不要な取引形態 〜くりっく365による取引〜
東京金融先物取引所を通じた「くりっく365」による取引について発生した利益については、申告分離課税となります。
雑所得として所得税15%,地方税5%が課され,そこで課税関係は終了することとなり,税務上の問題が生じることはありません。
▸申告が必要となる取引形態 〜くりっく365以外の取引〜
「くりっく365」を通さない仲介業者による店頭取引で、多額の利益が出ている場合には分離課税ではなく、総合課税の「雑所得」として確定申告することとなります。
現行では,FX取引を扱う仲介業者は顧客の取引について,税務署に報告する必要はない事となっています。
そのため、気づかぬうちに申告を怠っていた結果となっている状況が発生することとなります。
◆損失が発生したときの税務
損失が発生した場合、その損失は、くりっく365を通した取引形態か否かによって、次のように取り扱われます。
▸3年間の損失の繰越〜くりっく365による取引〜
「くりっく365」であれば損失を翌年以降3年間にわたって繰越して相殺をすることが認められています。
▸他の雑所得と相殺〜くりっく365以外の取引〜
「くりっく365」以外のFX取引で生じた損失はその年で切り捨てられ、繰越控除は認められません。
しかし、金銭の貸付による所得など、同年度に他の雑所得がある方は、この損失と相殺して申告することとなります。
◆FX取引とは、、、
FX取引は,「証拠金」という一定のお金を預けて,外国為替取引を少ない資金で運用できる取引をいいます。
ただ,外為法の改正による、取引の自由化により,悪質な仲介業者と個人投資家のトラブルが問題となっていました。
それらを防止するため,東京金融先物取引所に外為証拠金取引の公認市場である「くりっく365」が開設されました。
2007/09/14
- 所得税