「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の改正の動き
(現時点では確定ではありませんが・・・・・)
「相続税の取得費加算の特例」が縮小となり増税の方向となっております。
相続により取得をした土地を相続税申告期限の翌日から3年以内に売却をすれば、
相続税額の内一定の金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。
(国税庁HP 「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」)
今回の税制改正の動きとして、この取得費(原価)に加算することができる特例の見直しがあります。
その動きについて説明させて頂きます。
例として、相続によりそれぞれ1億円の土地3つを取得(トータルで3億円の土地を取得、
相続税額が1億円かかったとします。)した場合について、
現行では3つの土地のうちどれか1つの土地を売却したとしても譲渡所得の計算上、
取得費(=原価)に相続した3つの土地全てに対応する相続税1億円を加算することができます。
換言すれば、1億円の非課税となります。
もし土地の譲渡益が1億円であるとするならば、
譲渡所得は0円(=譲渡益1億円-非課税分1億円)となり所得税は生じません。
これが、今回改正が実施された場合、譲渡所得は以下の通りとなり多額の所得が発生します。
譲渡所得6,667万円(=譲渡益1億円-非課税分3,333万円)
この非課税分3,333万円の算出方法は、以下の通りです。
相続税額1億円×(売却土地を相続時に取得した価額1億円÷土地3つの相続時の価額3億円)
かつては、非課税分は、売却土地に対応する相続税額は3,333万円でした。
昭和のバブル崩壊で相続税の納税率が思わしくなかった事情を考慮し、
1993年改正においては相続した全ての土地に対応する相続税分(1億円)を
売却時の原価(=取得費)とすることができました。
上記経緯を踏まえると、これまで1993年より続いていた特例の廃止と考えることもできます。
従って、上記改正がなされるとすれば早くて2014年税制改正分(2014年4月以降の譲渡分)からではないでしょうか。
現行の特例を確実に使うのであれば今年12月の税制改正に注意して、
いざという時には2013年中に売買契約を締結出来る準備だけはして頂いた方が良いかもしれません。
最近相続が発生し、取得費加算の特例を使える地主様には最後のビッグチャンスになるかもしれません。
2013/11/20
- 相続税・贈与税