50年ぶりに国税通則法改正!(税務調査手続)
平成23年度税制改正において、税務調査手続の明確化等を内容とする国税通則法の改正が行われました。原則として平成25年1月1日以後に開始する調査から適用されます。今回はその改正内容についてご紹介します。
1.概要
税務調査手続について、以下の3点につき、現行の取扱いが法令上明確化されました。
? 税務調査に先立ち、税務署等が原則として事前通知を行うこととされました。
? 税務署等が調査終了時に行う手続が整備されました。
? 納税者から提出された物件の預かりの手続のほか,税務署長等が帳簿書類その他の物件の
「提示」「提出」を求めることができることが法令上明確化されました。
2.事前通知について
税務署等が、原則として事前通知を行うこととして、従前の取扱いを法律上明文化することとされました。
原則として、納税者に対し調査の開始日時・開始場所・調査対象項目・調査期間などを事前に通知します。同時
に、納税者に関与している税理士に対しても通知します。
一方で、事前通知により調査の適正な遂行に支障を及ぼすなど税務署等が認める場合については通知を行
わないことが明確化されました。
3.調査終了時の手続整備について
調査終了の際の手続について、法令上明確化されました。
税務調査において、申告内容に誤りが認められた場合や、申告する義務がありながら申告していなかったこ
とが判明した場合には、税務署長等は調査結果の内容を説明し、修正申告や期限後申告を勧めます。
4.質問事項への回答と帳簿書類の提示について
税務署等は調査に対し必要があるときは、納税者に質問し帳簿書類などの「提示」「提出」を求めることがで
きることが法令上明確化されました。もし、納税者が提示・提出を拒んだ場合に、正当な理由がなければ罰則(1
年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科されることがあります。ただし、帳簿書類等の提示・提出をお願いす
る際には,その趣旨を説明し納税者の理解と協力の上、承諾を得て行うこととしています。
5.まとめ
この国税通則法の改正は約50年ぶりであり、調査手続が法定化されるという画期的なものとなっております
が、調査手続に関する従来の取扱いを法令上、明確化するものであり、基本的には税務調査が従来と比べ大
きく変化することはありません。
納税者自身にとってみても、今後の調査にあたって参考となる部分があるかと思います。
2012/10/30
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