平成23年度税制改正大綱 〜法人編〜
皆様、既にご存じのとおり昨年12月16日に平成23年度税制改正大綱が決定されました。
そこで今回は平成23年度税制改正大綱のうち法人編として、中小企業者等に関係のある
項目を一部ご紹介したいと思います。
1.法人税
(1)法人税率
平成23年4月1日以後に開始する事業年度に適用される法人税の税率は以下のとおり
となります。(カッコ内は、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する
事業年度に適用されます。)
税率の引き下げにより利益が出ている法人は税金が安くなることになります。
| 現 行 | 改 正 後 | ||
| 年800万円以下 | | 年800万円以下 | |
普通法人 | 30% | − | 25.5% | − |
中小法人 | 30% | 22%(18%) | 25.5% | 19%(15%) |
(2)雇用促進税制
公共の職業安定所に雇用促進計画の届出を行った法人が、前事業年度に比べて雇用保
険一般被保険者の数が10%以上かつ5人以上(中小企業者等は2人以上)増加した場合
には、一定の要件の下税額控除ができるようになります。(平成23年4月1日から平成26
年3月31日までの間に開始する事業年度に限ります。)
またこの制度の適用は正社員だけではなくパート、アルバイトでも雇用保険への加入など
一定要件を満たせば控除の対象となるようです。
税額控除額
?法人税額×10%(中小企業者等は20%)
?増加した雇用保険一般保険者数に20万円を乗じた金額
?と?のいずれか小さい金額
雇用促進税制の適用は黒字であることが前提ですが、中小企業においてはハードルも低
く設定されているため実用できる機会がありそうです。
実用するには届出の必要がありますので忘れないように提出しましょう。
(3)更正の請求の期間の延長
納税者が「更正の請求」を行うことができる期間が1年から5年に延長されました。
併せて課税庁が増額更正できる期間も5年となります。
更正の請求とは確定申告の際に納税額を過大に申告していた場合に、納税額を減らすた
めに行う税務処理の手続きです。
したがって確定申告後5年以内に間違いに気付いた場合には、納めすぎた税金が還付され
ることになります。
(4)欠損金の繰越期間
欠損金の繰越期間が現行の7年から9年に延長されます。
繰越期間の延長により今まで切り捨てられていた欠損金額を利用することができるようにな
りました。
しかしそれと同時に帳簿も9年間保存しなければなりません。
(5)減価償却
減価償却制度については平成23年4月1日以後に取得する減価償却資産の定率法の
償却率が、定額法の償却率(1/耐用年数)の2.5倍から2倍に縮小されます
平成23年4月1日以後に資産を購入した場合の定率法による償却額は、平成23年
3月31日以前に資産を購入した場合の償却額に比べて少なくなるので注意が必要です。
2.まとめ
平成23年度税制改正大綱で法人については、全体として有利となる改正が多いようです。
ただし、所得税や相続税等の個人にかかる税金が増えることとなってしまいました。
個人にかかる所得税については次回、相続税等については次々回ご紹介したいと思います。
2011/01/20
- 税制改正速報