19年度改正で減価償却資産は全額償却が可能に!
減価償却制度については、平成19年度において下記の(1)〜(4)の改正が入ることとなる予定です。
(1)〜(2)については 平成19年度税制改正はどうなる!?(その2)で記載していますが今回は具体的な計算方法を確認します。
(1)残存価額の廃止
(2)償却可能限度額の廃止
(3)法定耐用年数の見直し
(4)250%定率法の採用
●改正内容
新制度では、新規取得資産の定率法に「250%定率法」を採用して、定額法・定率法いずれを採用した場合でも耐用年数経過時点で1円(備忘価額)まで償却可能となります。
既存設備等についても、償却可能限度額に達した後の5事業年度後で均等償却が認められ、新規取得資産と同様に1円まで償却可能となりました。
企業にとっては、設備投資費用の早期回収が可能となり、キャッシュ・フローの増加が期待できることになります。
●具体的計算方法
取得時期に応じて下記の計算方法となります。
(1)平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産
○定率法を採用する資産の場合
改正後では、償却するために一定の時期に償却方法の切り替えをすることとなります。
償却限度額 = (取得価額 − 既償却額)× 耐用年数に応じた「定額法の償却率×2.5」
*注1耐用年数から経過年数を控除した期間内に、その時の帳簿価格を均等償却すると仮定した金額を下回る場合に定率法を定額法に切り替えて計算します。
(例)取得価額100万円、法定耐用年数10年の場合
(1)償却率の変更⇒7年目まで
現行: 耐用年数10年で定率法償却率 ⇒ 【0.206】
改正後:定額法10年の耐用年数(0.1)×2.5倍 ⇒ 【0.25】
(2)定額法へ償却方法の変更⇒8年目から詳細な計算は割愛しますがこの例の場合、8年目より定額法に切り替えることになります。定率法の計算で7年目の帳簿価額が13.3万円となり残りの 期間の3年で割ると「4.4万円」。(この「4.4万円」が注1のその時の帳簿価格を均等償却すると仮定した金額)
定率法で計算を続ければ8年目は「13.3×0.25=3.3万円」となり「4.4万円」を下回る為、定額法に切り替え「4.4万円」が8年目から10年目までの償却限度額となります。
○定額法を採用する資産の場合
償却限度額 = 取得価額 × 耐用年数に応じた定額法の償却率
(2)平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産
償却可能限度額(取得価額 × 95%) まで償却した事業年度の翌事業年度以後5年間で、残存価額を均等償却することができるようになります。
(3)注意点
メリットが目立つ改正ではありますが下記のような注意点もあります。
(1)同じ資産を購入した場合であっても取得時期により計算方法が異なります。
(2)定率法においては途中から定額法に切り替えることになり従来以上に資産管理に気をつけなければなりません。
2007/02/01
- 法人税