消費税の特定期間について
平成23年度税制改正により、平成25年1月1日以後開始する事業年度につき、
消費税の免税点の判定方法が変更となります。
従来は、2事業年度前の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税の免税事業者となりましたが、
改正により、従来の判定に加え、特定期間の課税売上高又は給与等支払額のいずれか低い方の金額が
1,000万円を超える場合、納税義務が免除されなくなりました。(資本金1,000万円以上の場合を除く。)
そこで今回は、新規事業者における、事業年度設定の留意点をご紹介致します。
1. 特定期間とは
特定期間とは、次の期間をいいます。
その事業年度の前事業年度開始の日以後、6月の期間
個人事業主なら前年1月1日から6月30日まで、法人なら、前事業年度の期首から6ヶ月、となります。
2. 新規事業者の取り扱い
新事業者の場合、特定期間の考え方は個人事業主と法人で異なります。
(イ) 個人事業主の場合
個人事業主の特定期間は、1月1日から6月30日です。
例えば、前年の4月1日に開業した場合も、その特定期間は、
前年4月1日から9月30日ではなく、前年4月1日から6月30日となります。
(ロ) 法人の場合
(a)設立1期目が7ヶ月以下の場合
法令上、前事業年度が7ヶ月以下である場合、特定期間はないこととされます。
(b)設立1期目が7ヶ月超の場合
設立日から6ヶ月の期間が特定期間とされます。
ただし、前年4月15日設立で、期末が12月31日のような、月中に設立した場合、
その特定期間は前年4月15日から10月14日ではなく、10月14日の前月末日の9月30日までとなります。
3.まとめ
個人事業主の場合、6月30日までの課税売上高若しくは給与等支払額が
1,000万円を超えそうであれば、開業2期目に課税事業者となるため、
あえて、事業開始を遅らせるという選択肢も考えられます。
また、法人の場合、設立1期目の事業年度を7ヶ月以下にすることで、設立2期目も免税事業者となることができます。
本年中に事業を開始される方で、1期目から相当額の売上が見込まれる場合は、事業年度設定に必ず留意するようにして下さい。
※決算期の変更や増資など、特殊な事情がある場合には、適用できない可能性があります。
個々の状況により適用の可否は異なりますので、詳しくはお問い合わせ下さい。
アイネックス税理士法人 新開 章弘
2017/02/01
- 消費税