税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

vol51「1000兆円の大相続時代がやってくる!」

■vol51 2003年12月15日
 景気が底を打ったとはいえ、まだまだ良い話はあまり聞かない最近ではあるが、今回は少し明るい話題を紹介したい。
 日経ビジネスの11月24日号の「1000兆円が動き出す大相続」という特集の中で、今後20年間に1000兆円の資産が次の世代へ相続として移転すると書かれている。
 60代以上の平均貯蓄残高は1700万円を超えるている。さらに、個人が保有する金融資産に不動産などを加えた総資産の額は、2001年末現在で約2600兆円。その半分を65歳以上の高齢者層が持っているそうである。
 相続なんて、自分には関係ないと思っている方にとっても、この数字には無関心ではいられないだろう。つまり、カネが動くということは、そこにはビジネスチャンスが待っているからである。
 ごく常識的には、これらの資産を運用するサービスが考えられるが、それだけではない。
 例えば、当然のことながら「相続」が「争族」にならない手助けを行うビジネスが発生する。具体的には円滑に相続されるようにする遺言書の作成や、相続税を安く抑える節税支援などが考えられる。
 また、日本人が保有する資産のおおよそ70%は不動産であり、この資産構成のバランスを改善するサービスや、保有すれども利益を生まない資産を組み替えるサービスなども考えられるだろう。
例えば、青空ガレージで大して利益を生まない土地から、都市部の収益ビルなどに買い換えを促すのである。これなどは、節税対策にもなり「ダブル」でメリットを享受できる方法である。
 そして、不動産はあるが金融資産の乏しい方に、持ち家を担保に年金型の生活資金を貸し出す「リバース・モーゲージ」の普及が加速されることにも期待したい。そうすれば、より豊かな老後を送ることができ、高齢者の消費性向も上向くに違いない。経済活性化の起爆剤ともなりうるのである。
 高齢者向けのサービスを提供する場合には、このようなファイナンス機能を上手く組合せながら、長い関係を築くビジネスモデルが、有効なのではないだろうか。なぜなら、顧客との関係を長く持つことにより、次の世代の顔を知ることができるからである。

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2003/12/15

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