税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

vol.48「経理なくして事業は語れない!」

■Vol48 2002年10月20日
 いつまで夜明け前が続くのか!という悲鳴に近い声が聞こえてくる最近の日本経済ですが、このような状況下にあっても確実に利益を上げている会社が、業種を問わず存在します。
 そして、我々が職業会計人というバイアスを度外視しても、それらの会社に共通して言える事は、その会社の経営者が自分の会社の財務に詳しいということです。京セラの稲盛会長は「経理を知らない者は真の経営者にはなれない」と断言しています。
 もちろん、企業経営にとって「財務」に明るいということは、必要条件であって十分条件ではありませんが、経営の必須アイテムであることは間違いありません。
 逆説的に言うと、経理部門をたんなる「帳簿屋」あるいは「金庫番」としか見ていない会社は、総じて脇が甘く利益が出ていないか多くの機会を逃しているということです。
●経理業務の3つの役割
前回、間接部門の業務改善をコメントしましたが、その業務改善の結果、経理部門が経営陣に提供すべきサービス、業務は次の3つにまとめることができます。
(1)正確、迅速に経営結果を報告する業務  
 この業務は、正確に経営の結果を把握して、経営トップ、並びに各部署に報告する業務です。
そのためには、会計帳簿を正確に、作成する必要があります。そしてこれらがきちんと実施されて、月次決算の実施と報告、株主などの外部向け報告書作成のための決算業務、経営管理資料の作成と報告が後に続くことになります。
 しかし、同時に実現しなければならないことは「迅速」に作成するということです。正確な月次決算を行っても、2ヶ月も3ヶ月も経ってからでは、ほとんど意味がありません。
 例えば、京セラにいたっては、各月末の翌日には概算における月次決算が実施され、1週間後には正確な月次決算書に基づいて経営会議がなされています。
 あれだけの規模の会社でも、ここまで出来るということは中小企業においても「それはできない。」という言い訳は、それこそできないと言えます。
(2)財務体質の強化維持を果たす業務
 この業務は、まず得意先の債権の管理、債務が適性に支払われているかの管理、重要な固定資産の管理業務などの財産の保全管理に関するものがあります。具体的に言うと、例えば、管理不行き届きで売掛債権が貸倒れになってしまった場合などは、営業担当者同様、経理部門も怠慢のそしりを免れないと言えます。 
 また、2つ目として日次・月次単位の資金繰り管理、資金計画及び効果的な資金運用と経営計画にもとづく効率的な資金調達を実現する資金の調達と運用に関する業務があります。
 今日における資金調達については、金融機関からの間接金融だけでなく、直接金融による方法も必要になってきます。
(3)経営管理に必要な情報を提供する業務
 これは、中長期経営計画の策定と、それから導き出される予算の編成、月次単位の予算実績の比較分析を行い、経営管理資料として経営トップ陣および各部署の責任者に提供し利益計画を実現することを目的とする非常に大切な業務です。
 これらの業務を行うためには、例えば、価格改定や原材料コストの値上りや為替変動が会社の業績に及ぼす影響、設備投資に伴う収支予測、操業度の変化が製造原価に与える影響などについて、分析できる能力を備えておく必要があります。
 経営トップがこれらのことを自ら行う必要性はありませんが、経理担当者に対し経理部門の業務を十分理解させ、意思決定に重要なこれらの経営管理資料がタイムリーに提供される仕組みをつくらなければなりません。経理なくして事業は語れないのです。

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2003/10/01

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