税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

vol.33「日本人気質」

昨年の9月26日の「頭を下げる勇気」と題したコラムの中で、ヤオハンの倒産の原因について私見として「透明性が欠如していたのではないか」と述べました。その点について、先日ヤオハンの内部事情に詳しい方から「全く同感であり、和田氏の周りにはイエスマンしかいなくなっていた。」という趣旨のメールを頂戴しました。さらに、「会計監査も一族のワンマン経営に対しては全くの無力であり、あれだけの海外送金があったにもかかわらずいったい監査法人は何を監査していたのか。」としています。
 山一証券の「とばし」も同様の例ですが、野村証券に端を発した総会屋への利益供与、非加熱製剤を売っていたミドリ十字、出るわ出るわの金融不祥事のいずれも、共通する原因は実は同じところであるのではないかと思います。利益を追及したり、会社の保身をはかる為に、不正だとわかっていながら「おかしい」と言わない社員、監査法人、マスコミ、行政などに共通するのは、その「日本人気質」でないかと思うのです。村八分を恐れ、自己保全を優先する「日本人気質」が、その根底にあったのではないかと感じてしまうのです。突き詰めていえば、皆が「被害者」であると同時に「加害者」であるのです。
 同じように、今の政治の閉塞状況を考えると「政治家」も悪いが、物言わない国民も悪いのです。かつて日本は、明治維新という世界に例を見ない「無血革命」を実現しましたが、残念ながら「心の自立」は実現できず、村社会の気質はそのまま引きずってしまっています。日本が世界に開かれた、自由で活気のある社会が実現できるかどうかは、この国民性を変えることができるかどうかにかかっていると断言できると思います。もちろん私は、日本人の類まれなる優秀性や、感受性、あるいは伝統を否定しているのではなく、一人一人が自立意識をもって勇気をもって生きなければいけないと言いたいのです。もし、そういった「気質」をもつ人達が過半数を超え、政治家が小手先の選挙対策をすて、行・財政改革や思いきった規制緩和をおこない、弱い立場の人達に別の受け皿と自立への機会を提供できるなら、日本は劇的に変わることができます。なぜなら、日本は国民の投票で、どんな風にでも変えることができる民主主義国家だからです。それだけの環境変化に対応できるだけの能力が、日本人にはあると思いますし、高齢化を迎える日本社会においては「今」が最大のチャンスなのです。その中でも特に重要な役割をはたすのが「リーダー」と言われる人達だと思います。政治家、経営者、労働組合長、あるいは、いろいろなコミュニティーのそういった人達が、「豊かな社会を実現するためには、一人一人が勇気をもって自立しなければいけない。そのためには一度どん底を見なければならない。」という厳しいメッセージを送らなければならないのです。不本意にも、山一証券の自主廃業を決定づけたのは、米国の各付け会社のムーディーズであり、突き詰めて考えると「日本人気質」が彼等によって格付けされてしまったのです。日本の良さを取り入れた、新しい日本人気質が「世界のスタンダード」になるためには、 古い日本人気質を捨てることが、初めの第一歩になるように思います。

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2003/09/17

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