税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

vol.32「知識イノベーション元年」

新年明けましておめでとうございます。
旧年中は、皆様から貴重なご意見を頂戴し、大変ありがとうございました。お陰様で、Yahooの1997度Best web of the year のビジネス・経済部門のベスト10にランクされ、認知度が徐々に向上するとともに、会員数も右肩上がりに増加してまいりました。今後とも、ご支援の程よろしくお願いいたします。
さて、1998年は日本経済にとって大激動の1年になることでしょう。世界経済の標準が、純粋資本主義へ移行し、日本経済も金融ビッグバンをはじめ、大きく構造変化することでしょう。
 好むと好まざるとに関わらず「世界規模の弱肉強食」の時代の幕開けでありますが、見方を変えると既存秩序の崩壊であり、新しいビジネスチャンスの到来と見てよいでしょう。その時に、新しい競争の土俵、つまり付加価値源を何に求めるかが、ビジネスマンに課せられたテーマとなってきます。かつての付加価値源であったハードは、既にソフトへ移行しています。しかし、そのソフトを作り出しているのは人間であり、人間の持つ「知識やノウハウ」そのものが新しい差別化の要素になってきます。これは「知識労働者」に限ったことではなく、提案型のセールスを行う販売員や、間接部門に従事する人々にも重要なテーマとなります。
例えば、金融の規制緩和が進み、ブローカーが出現するようになると、そこに従事する人達は、メーカーの販売代理ではなく、ユーザーの購買代理の役割を担うことになります。そこには、顧客のニーズを引き出し、適切な商品を選択するという能力が必要になってきます。ところが、この知識やノウハウといったものには「生産性」という概念が無く、属人性に委ねられ、会社全体の強みになっていない問題があります。これは、いかに効率的、効果的に組織構成員、および取引先と共有化するかという課題に置き換えられます。それから、そういった情報や知識は多くの場合、組織の内部で発生したことについてであり、付加価値の源泉は企業の外にある事実からすると、いかに組織の外部の事象や状況から、情報を収集し知識に置き換えるかという課題があります。事業を立ち上げた経営者の多くは、自ら現場へ出向き、様々な情報を収集し、自分の知識に置き換え「付加価値」を創出する経験をしています。そういう人から見ると他の組織構成員を非常に歯がゆく感じられることは、まさにこれらの課題の現われといえるでしょう。
こういったことを解決する一つの手段にマルティメディアがあります。例えば、トップと顧客、あるいは社員とのやり取りはマルティメディアの環境を整えることによって、同時に共有化される手段を提供してくれます。しかし、これは「情報を共有化」しただけであり、その結果、構成員が自らの「知識」に置き換え、付加価値を生み出す具体的な「アクション」に結び付かなければ効果も限定されてしまいます。また、共有化することが、他の組織構成員のスキルの向上を促し、自分のポジションを危うくする場合には、情報として発信されないことになります。また、自分の体験や考えを、体系立てて伝えるコミュニケーション能力が欠けていると本人が自覚している場合、発信されないか、されても効果は薄くなります。
これらの課題に対するチャレンジが、今後の企業競争力を大きく左右すると考えられますが、明確な処方箋はいまのところ無いと思われます。これは、そういう仕組を創ることが「差別化要素」になると、自覚されていないことが根本的な理由でしょう。したがって、私なりの考えをいうと、トップ自身が危機意識をもつことと、そこに働く人達の動機づけとが必要になってくるでしょう。それには、人事評価を含む様々な仕掛けが必要なのは言うまでもありません。
次に、教育の問題です。情報を知識に置き換えるのが得意な人は、好奇心が強く、観察眼が鋭いだけでなく、一定のシンキング・プロセスを持っています。例えば、様々な現象を観察し、その奥に潜む問題点をある共通項で括り、解決策を導き出していく思考の習慣がある人は、知的生産性が高く、情報から知識への置き換えが的を得ています。知識を共有化する場合でも、こういったシンキング・プロセスを持ち合わせていない人にとっては、単なる情報に置き換わってしまい「アクション」には結び付きません。コンピューターで例えると、OSが無ければ、いくらすばらしいアプリケーションを乗せたところで動かないのと同じです。また、この能力が開発されることによって、他に効果的に伝えるコミュニケーション能力も飛躍的に向上します。3番目は、実務における実体験を積み重ねることです。いくら、動機づけし、教育したとしても、それを実体験として積む場がなければ、経験として昇華し、新たな知識を共有化する相乗効果を得ることはできません。
人の行動様式は、長年染み着いた習慣のため、なかなか変えることはできません。しかし、歴史的に見てもその行動様式が変わった時代には、必ずと言っていいほど、急激な環境変化が伴っています。そう考えると、今の時代は、行動様式を大きく変えるチャンスであり、絶好の機会を提供してくれているのです。時代に君臨した恐竜が、その環境変化に対応できず絶滅したのと反対に、生き残った生物はその変化に見事に対応し、次の時代を謳歌したのです。全ての人にとって知識イノベーションへのチャレンジは、時代が突きつけた課題であり、これにうまく対応した企業が生き残ることでしょう。我々も、知識イノベーション元年として、チャレンジし続けようとコミットしています。

京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2003/09/17

  • 雑感

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