税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

vol.28「不況下の財政再建は失敗する!?」

個人消費の冷え込みで景気が底を割るのではないかという懸念が強まっている。私はタクシーに乗る機会が多いが、乗る度に最近の景気はどうですか、と聞いているが「お客さん、ぜんぜんあきまへんわー。商売あがったりですわー。」という答えが異口同音に返ってくる。元気がいいのは京都ではMKタクシーぐらいである。消費税率の引き上げなど9兆円の国民負担増が直接の原因と考えられるが、今の状況をみていると完全に閉塞状況に陥ってしまって出口が見えてこない。財政再建を政府を含め野党もこぞって政策目標に掲げており、積極的な財政の出動が期待できず、金融政策も手の打ちようがないからである。景気回復の一つの処方箋である減税も、橋本首相は財政再建を急ぐ理由から一蹴している。
このような不況下の財政再建を日本はかつて経験したことがある。1929年、当時の浜口内閣は蔵相井上準之助のもと、緊縮財政を3年間にわたり続け、その結果、景気はつぶれ、後に大きな禍根を残すことになった。したがって、不況下の財政再建は失敗するというのは一つの教訓となっている。このため、自民党議員の中には財政再建よりも景気対策を優先して財政出動すべきだとの声が出てきている。たしかに今の閉塞状況を打破するには、何らかの景気対策を講じなければ「景気底割れ」するのは間違いないだろう。しかし、ちょっとまってほしい。不況化における財政再建は失敗するのが、事実であったとしても好景気の時に財政再建を実行するという担保がとれているのかということである。あれだけの好景気であった「バブル期」になぜ財政再建ができなかったのか。今、仮に赤字国債(この表現にも問題がありますが)を発行して金をばらまけば景気に良い影響を与えるのは、だれにでも解ることである。しかし、好景気時に財政再建を必ず実行するという担保がなければ、その「ツケ」を払わされるのは決まって次世代の若者たちである。それからもう一つは、その使い方である。政治家は「選挙に当選しなければタダの人」であり、「即効性」を求める。その結果、予算を早く消化できることが彼等の予算振り向け先の基準となってしまう。先日、補正予算を1兆円組んで積雪地帯に重点配分しようという記事があったが、その理由は「1年以内に消化しないといけないから」というお粗末なものである。
こんなことでは、一時的に景気が回復するだけである。財政を出動するならば、長期的視点をもって、日本という国が世界的に競争力のある基盤を作るために実行されるべきである。一律マイナスシーリングのような、経営者なら「失格」の烙印を押されるような政策でなく、めりはりの利いた財政の在り方を大議論する必要があると思う。日本の将来ビジョンを描き、イノベーションが起きるようなインフラに財政を出動するなら効果が少し先になっても国民は我慢できるのではないだろうか。またそのためには財政だけでは駄目で、才能ある金儲けの上手な人から「バカ」ほど税金をとる仕組も改めなくてはいけないだろうし、規制緩和も徹底してもらわなくてはならない。なぜなら、そういう人達が出現しないと日本に雇用が生まれないからである。また、我々の意識も変えなくてはいけない。今の政府に景気の回復を期待するのは神頼みに近い、ぐらいの意識でもって事業に取り組まないといけないと思う。日本には1200兆円もの金融資産が存在する。運用にあえぎ、消費にも回らない膨大な資産がある。消費したい!と思わせるような何かを企業家は世の中に提供しなければならないと思う。

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2003/09/17

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