銀行との正しいつきあい方!〜晴れているときに傘を貸すと言われたら〜
銀行は「晴れの日に傘を貸して雨の日に傘を返せと言う」とよくいわれていることは皆さんもご存知だと思います。
「雨の日に傘を返せ」と言われたら「NO」と言うしかありませんが、「晴れの日に傘を貸すよ」と言われたらどうすればいいか。
以外と多くのお客様から相談を受けます。そこで今回は『晴れの日に傘を貸すよと言われた』ときの対応を解説します。
■誰からの依頼か確認する!
月次の監査のためにA社を訪問していた監査担当のM君(元銀行員)に、応接室で銀行担当者と話をしていたA社長がM君のところに来て
(そうです。M君は弊社の○本です。)
<A社長>
「銀行がお金を借りてくれって言うてんねんけど一緒に聞いてくれへんかな?」
<監査担当>
「わかりました。でも内容によっては断るかもしれませんがいいですか?」
<A社長>
「もちろん会社にとって不利なら遠慮なく断って、その方が助かるわ。」
<銀行員>
「今回は無理なお願いして恐縮です。貸出残高の目標が達成できなくて」
「支店長からA社長のとこやったらお願いできないか聞いて来いって言われて。」
<監査担当M君>
「ということは、今回のご依頼は支店の目標のためなのですね。」
<銀行員>
「そうです、どうしても4月の支店の目標がギリギリ足りなくて」
■銀行の条件を確認して、こちらの条件を提示する!
<監査担当M君>
「金額と期間は?」
<銀行員>
「今回は3000万円を4月20日から5月15日ぐらいまでお願いします。」
<監査担当M君>
「25日間では金利負担が大きいですね。」
「では、いくつか条件を出すので可能かどうか教えてください」
<銀行員>
「わかりました、何でも聞いてください」
<監査担当M君>
「今回の依頼は支店長からとうことでしたので、それを確認させてください。
「つまり、支店長から一報いただくことは可能ですか?」
<銀行員>
「もちろん大丈夫です、支店長が言い出した話なので明日連れてきます。」
<監査担当M君>
「ありがとうございます。では次に振込手数料の減額は可能ですか?」
<銀行員>
「当行では振込手数料の減額はやっていないんですよ、ちょっとムリですね。」
<監査担当M君>
「では、他の借入の金利引下げは可能ですか?」
<銀行員>
「条件変更の稟議を書く根拠がないので難しいですね。」
<監査担当M君>
「う〜ん、ではインターネットバンキングの月間手数料を減免してください。」
<銀行員>
「すみません。これもできません(汗)。」
<A社長>
「できないばっかりやな〜。」
<監査担当M君>
「そうですね、「お願いします」だけじゃ、支店長さんにお越しいただいてもちょっと無理ですね。本当に申し訳ないですけど、今回はお断りさせていただきたいと思いますが、A社長よろしいですか?」
<A社長>
「そやな、付き合いも大事やけどあんまりルーズな関係になりたくないからごめんやけど、支店長にもよろしく言っといて。」
<銀行員>
「分かりました。これからもよろしくお願いします。」
■ 返って来ない「貸し」
担当者に「貸し」を作っても彼らにはなんの権限もないのでこの「貸し」が返ってくる見込みはありません。
ほぼ100%貸倒です。
最低でも支店長に「貸し」を作っておかないと「貸し」を回収できません。
但し、支店長と言えでも自分の決裁権限を超える融資は不可能です。
それに支店長や担当者はすぐに転勤し「貸し」はチャラになります。後任者が「貸し」を引継ぐことは絶対にありません。
万一、支店長や担当者が将来偉くなって戻ってきても「貸し」を回収することは困難です。
なぜなら「借り」を返すための融資は銀行の規程に抵触するからです。出世して戻ってきた彼らがそんなリスクを犯してまで「借り」を返すことは考えにくいです。
だから支店レベルでの「お願い」に付き合う価値はほとんどありません。
但し、経済的に合理性があれば借りることもやぶさかではありません。金利負担に見合う条件が提示されれば話は別ですが、それがなければキッパリと断って問題ありません。
断ったところで関係が気まずくなることはありません。銀行の担当者にとって御社は数ある担当先のうちの1社です。断られたことを忘れてまたお願いに来るはずです。
★☆★ 今回のPoint ★☆★
●誰(担当者か支店長か)の依頼か確認する。
●借りることによって発生する金利を考える。
●金利に見合う減額を交渉する。
●断っても問題ありません。
2011/02/03
- 雑感