税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

日本がアルゼンチンタンゴを踊る日

2010年2月5日付の日経新聞で「長期金利の急上昇懸念」というタイトルで、小さな記事が載っていた。

その内容は、次のようなものである。


日銀の中村清次審議委員が、日本の長期金利について「日本の国債保有のリスクプレミアム(財政悪化懸念に伴う金利の上乗せ分)が高騰すれば大変なことになる。」と懸念を表明した。

つまり、日本の財政悪化を理由に国債価格が暴落し、長期金利が急上昇する可能性について示唆したものである。

小さな記事ではあるが、大問題である。

ご承知の通り日本の債務残高の対GDP比は、1995年は86.2%であったものが、2010年において197.2%と先進国G7のなかでも突出し、劣等生と言われたイタリアの127.0%をはるかに上回る。

中村委員は同時に「景気回復の力が乏しい中で、短期的な財政支援継続と中長期的な財政再建とのバランスをとることは『極めて』難しい問題」と指摘している。

金利が上がると、借入に依存している企業経営は立ちいかなくなり、当然のことながらその余波は、そこに勤める労働者に対しても影響がでる。負の連鎖が始まるのである。

最近では、ギリシャなどが財政悪化懸念から、金利が急上昇しているが、対岸の火事ではない!

だれかが、日本はおかしいと言い出せば、格付け機関も日本の国債の格付けを下げるだろうし、このままではその日は近い。

いま、小沢氏の問題で国内が大揺れに揺れているが、これは国民にとっては不幸である。本当すべき、日本の財政政策を、あるいは、成長戦略をどう描くのかという議論が後回しにされてしまうからである。

2001年アルゼンチンがデフォルト、失業率が20%を超えた。日本がアルゼンチンタンゴを踊る日がこないことを祈るばかりである。

 

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2010/02/05

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