税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

退職金の課税が強化される!?

いよいよです。予てから噂されていた退職金について課税が強化される可能性がでてきました。
--------------------日経新聞2007.8.9--------------------------------
退職金課税を強化、政府税調会長が検討表明

政府税制調査会(首相の諮問機関)の香西泰会長は8日、日本記者クラブで記者会見し、秋以降の税制改革論議で、退職金や年金への課税強化を検討する考えを示した。

少子高齢化で現役世代1人当たりの税や社会保険料負担が重くなるのを踏まえ、世代間の公平に配慮する必要があると判断した。

焦点の消費税率引き上げは「詰めた議論になっていない」と述べるにとどめた。

退職金への課税は勤続年数が長いほど課税所得から差し引ける控除の額が大きくなり、税負担が軽くなる仕組み。

香西会長は「終身雇用を前提にしているように思える」と述べ、課税強化とともに、雇用流動化など社会構造の変化に合わせて中立的な税制に改める必要性を強調した。

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以上 日本経済新聞より抜粋

●緩やかな退職金課税!

退職金にも税金はかかります。

ただ、退職金は老後の生活資金という性格もあることから、緩やかな課税となっています。

退職金の税金の緩やかな課税というのは退職金の所得控除
2分の1課税と言われるものです。

もう少し具体的に見てみましょう。

退職金の所得の金額の計算は下記のようになっています。

退職金の所得=(退職金の金額−退職所得控除額)×2分の1

そして、この退職所得控除額というのは勤続年数に応じて次のように計算されます。

 勤続年数20年以下・・・40万円×(勤続年数)
 勤続年数20年超・・・800万円+{70万円×(勤続年数-20年)}


例えば、勤続年数30年のAさんが退職して、会社から1000万円の退職金を受け取ったとしましょう。

この場合の税金は『0円』となります。

なぜなら先ほどの計算式にあてはめると、

退職所得={1000万円−(20年×40万円+10年×70万円)}×1/2=0

となり、そもそも課税される金額になりません。

同時に退職金の所得は『分離課税』ですので、他の所得と合算されないので、超過累進税率の影響を受けないわけです。

●早いうちに退職金を支給しましょう!

私は政府税調の葛西さんとは、何の面識もないのでわかりませんが、1/2を廃止するか、退職所得控除額を減額するかのどちらかでしょう。(あたり前ですが・・・。)

まあ、どちらを修正するかは、わかりませんが、退職金を支給するなら早いうちに支給する方が得することになります。

同族会社の場合には、分掌変更するなどして、一旦退職金を支給してしまう方法も考えられるので、今後の政府税調の動きをウォッチしておく必要があるかと思われます。


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2007/08/09

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